4.参加資格
従業員持株会④ 参加資格等について
今回は、従業員持株会の参加資格と、役員持株会、取引先持株会の概要について、まとめてみたいと思います。
1.従業員持株会の参加資格
通常、会社には、正社員だけではなく、パート・アルバイト等の臨時社員や役員等、様々な雇用形態等の人がいます。このような雇用形態等の異なる人達の全てを「従業員」持株会の会員として参加させることはできません。
一般的な従業員持株会の参加資格の概要は以下のとおりです。
| 関係 | 参加資格 | 留意点 |
|---|---|---|
| 正社員 | 有 |
・勤続年数等の条件を設けて、一定の範囲に限定することも可能 ・同族関係者は除外しておく(株式の取引価額の決定方法が複雑になる可能性があるため) |
| 臨時社員 (パート、アルバイト等) |
無 | 一般的には除外。ただし、実態として正社員と同等の勤務形態があれば、参加することも可能 |
| 役員 | 無 | 役員持株会を設立し、役員持株会に参加 |
| 子会社の社員 | 有 | |
| 関連会社の社員 | 無 |
2.役員持株会を設立する理由
上記1に記載したとおり、役員については、従業員持株会に参加することはできません。
役員持株会の運営方法等については、前回以前に掲載した従業員持株会の取扱いと基本的には相違はありませんが、役員には様々な法的(会社法や各種税法等)な規制が設けられていること等から、いくつかの点で従業員持株会とは異なる取扱いが必要になります。そのため、従業員持株会とは区別して、役員持株会を設立することになります。
従業員持株会との相違点を中心に、役員持株会の概要を以下に記載いたします。
| 項目 | 内容 | 留意点 |
|---|---|---|
| 目的 | 経営者意識の向上 | 役員に相応しいだけの自社株を持つことで役員としての自覚をもち、経営者意識の向上を図る。なお、従業員持株会は「福利厚生」を目的として設立される。 |
| 奨励金の支給 | 不可 | 会社法(忠実義務)違反の恐れ(会社法355条) |
| 事務処理の無償委託 | 不可 | 上記同様 |
| 同族役員と非同族役員 | 区別して設立 | 同族役員と非同族役員では、株式の評価方法が異なるので、これらの役員が混在すると、株式の取引価額の決定が複雑になるため、同族役員のみの役員持株会と非同族役員のみの役員持株会に区別して設立する必要がある。 |
| 従業員持株会の会員である従業員が役員になった場合 | 従業員持株会を退会して役員持株会へ参加することになる |
3.取引先持株会
上記の従業員持株会や役員持株会以外にも、取引関係者が対象会社の株式を取得することを目的とする取引先持株会を設立することも可能です。
取引先持株会の概要は、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 取引関係者による対象会社の株式取得により、相互間の親睦関係の増進に寄与することを目的とする。 |
| 会員の範囲 | 対象会社の取引関係者(個人、法人を問わない) |
| 奨励金 | 不可 |
| 項事務処理の無償委託 | 不可 |
| 優越的な地位の乱用の防止等 | 対象会社は、取引先持株会への入会の有無又は、拠出金額の多寡等によって取引関係において差別的な取扱いを行ってはならない。 |
| その他留意点 | 対象会社の子会社については、会社法の規定上、親会社の株式を取得することができないため、取引先持株会に参加することはできない(会社法135条) |
※参考:日本証券業協会「持株制度に関するガイドライン」
4.まとめ
今回は、従業員持株会の参加資格を中心に、従業員持株会への参加資格がない場合の他の持株会の取扱いについてまとめてみました。新たな参加者がいる場合には、その参加者が従業員持株会に参加することができるか、他の持株会を設立する必要があるか等を検討する必要がありますので、ご留意ください。