納税の猶予
国税(法人税・所得税・消費税など)については申告納税制度が前提となっており、納税者が申告書を提出した時点で納付すべき税額が確定します。
通常は、その確定した税額を納期限までに納付しなければなりませんが、災害や病気、事業の休廃業など特別の事情が生じて納期限までに納付することが困難である場合については、納税の緩和制度を利用することができます。
今回は、納税の緩和制度の中から、国税通則法に規定されている3つの「納税の猶予」についてご紹介致します。
(1)災害による相当な損失を受けた場合の納税の猶予(通46①)
① 内容
災害により、納税者がその財産について相当な損失を受けた際に、納期限がまだ到来していない国税のうち、納付が困難と認められる金額について、納税者からの申請により、税務署長が納税を猶予する制度です。
② 猶予の対象
- 災害のやんだ日(※1)以前に納税義務の成立(※2)している国税で、納期限が損失を受けた日以後1年以内に到来するもののうち、納税の猶予の申請日以前に申告書を提出したもの
- 課税資産の譲渡等に係る消費税については、災害のやんだ日以前に課税期間が経過しており、その納期限が損失を受けた日以後に到来するもののうち、納税の猶予の申請日以前に申告書を提出したもの
- 予定納税の所得税、中間申告の法人税及び消費税については、その納期限が到来していないもの
(※1)源泉徴収による国税、申告納税方式による消費税等(保税地域からの引き取りにかかるものについては一定のものに限る)、印紙税などについては災害のやんだ日の属する月の末日
(※2)法人税・・・事業年度終了時
申告所得税・・・12月31日
源泉所得税・・・源泉徴収の対象とされている所得の支払時
③ 適用要件
- 震災・風水害・落雷・火災、その他の災害により、納税者がその財産につき相当な損失(全積極財産の価額の概ね20%以上の損失)を受けたこと
- 納付すべき税額が確定している国税について、納付が困難であること
- 納税者が、災害のやんだ日の翌日から2月以内に納税の猶予申請書を提出していること
(2)災害等に基づく納税の猶予(通46②)
① 内容
納税者の財産が災害を受けたり盗難にあった場合、その他②に記載する事実が生じた場合に、納付すべき税額のうち、納付が困難と認められる国税について、納税者からの申請により、税務署長が納税者の資力を調査した後、納税を猶予する制度です。
② 適用要件
- 下記のいずれかの事実が生じていること
納税者の財産が災害又は盗難を受けたこと
納税者または納税者と生計を一にする親族が病気又は負傷したこと
納税者が事業を休止又は廃止し、又はその事業について著しい損失を受けたこと
その他上記に類する事実 - 納付すべき国税を一時に納付することが困難であること
- 納税者が、納税の猶予申請書を提出したこと
(3)確定手続き遅延の納税の猶予(通46③)
① 内容
国税の法定申告期限を1年以上過ぎて、遅れて申告書を提出した場合などに、その納付すべき国税について納付が困難である場合には、納税者からの申請により、税務署長が納税者の資力を調査した後、納税を猶予する制度です。
② 適用要件
- 法定申告期限から1年以上経過後に申告書を提出したこと
- 源泉徴収による国税を滞納している場合については、税務署長が法定納期限から1年以上
経過後に納税告知書を送達したこと - 納付すべき国税を一時に納付することが困難であること
- 納税者が、納税の猶予申請書を提出したこと
(4)納税の猶予の取扱い、効果について
(1)~(3)までの納税の猶予のポイントを一覧表にしましたので参考にしてください。
| (1)災害により相当な 損失を受けた場合の 納税の猶予 |
(2)災害等に基づく 納税の猶予 |
(3)確定手続き 遅延の納税の猶予 |
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| 猶予される金額 | 申請金額の 全部又は一部 |
納付困難と 認められる金額 |
納付困難と 認められる金額 |
| 猶予期間 | 法定納期限から 1年以内 |
猶予開始日から 1年以内 |
法定納期限から 1年以内 |
| 猶予期間の延長 | なし | 申請により延長可 (上記猶予期間と 合わせて2年以内) |
申請により延長可 (上記猶予期間と 合わせて2年以内) |
| 税務署長等による納税者の資力の調査 | なし | あり | あり |
| 申請期限 | 災害のやんだ日から 2月以内 |
なし (いつでも申請可) |
猶予を受けようとする 国税の納期限内 |
| 延滞税 | 全額免除 | 全額又は半額免除 (裁量免除あり) |
半額免除 (裁量免除あり) |
| 担保 | 必要なし | 原則必要 | 原則必要 |
| 分割納付 | なし | 可能 | 可能 |
| その他のポイント | ①猶予期間内は、その猶予された国税について、新たに督促、滞納処分(交付要求を除く)をされることはない。 ②猶予された国税について、既に差し押さえられた財産がある場合には申請により差押えが解除される。 ③納税の猶予の申請があった時点で、その申請にかかる国税については時効が中断される(振り出しに戻る)。 猶予期間中は、時効が進行しない。 ④「(1)災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予」の適用を受けた後に納税者の資力が回復しない場合には、「(2)災害等に基づく納税の猶予」の適用を受けることが可能(最大で通算3年の猶予が可能) |
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