固定資産税
固定資産税の概要
今回は固定資産税の概要についてまとめてみたいと思います。
1.課税要件
① 課税客体と納税義務者
固定資産税は、固定資産(土地・家屋・償却資産)を課税客体として、その年の1月1日におけるその固定資産の所有者に対して課されます。
② 償却資産とは
土地・家屋・償却資産は地方税法にそれぞれ定義されています。土地・家屋については、一般に使う”土地””家屋”の意味合いとあまり変わりませんが、償却資産の定義は独特ですので、簡単に触れておきます。
償却資産とは、『土地又は家屋以外の事業の用に供することができる資産で…その減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上損金又は必要な経費の額に算入される…ものをいう』(地方税法341条1項4号)と定義されています。
一定の例外はありますが、要するに土地・家屋以外の事業用減価償却資産です。
従いまして、法人でもなく個人事業者でもない方は、償却資産の所有者になり得ません。
③ 1月1日における所有者とは
上記①のとおり、固定資産税は1月1日時点の所有者に対して課税されますので、例えば、1月2日に他人に売却した場合であってもその年の固定資産税は売主側に課税されます。
日割りや月割りの概念はありませんが、実務上は次の例のように売主と買主との間で未経過の固定資産税相当額を精算することがよくあります。
| 例えば、A株式会社がB株式会社にX土地を平成×年1月2日に譲渡。 平成×年度のX土地に対する固定資産税は365,000円の場合→固定資産税365,000円はA株式会社に課税される。 B株式会社はA株式会社に対し未経過分の固定資産税として365,000円×364/365=364,000円を売買代金に加算して支払います。(なお、未経過固定資産の精算金は法人税法上・所得税法上・消費税法上においては売買代金の一部として取扱われます。) |
④ 税額
税額=課税標準額×税率(標準税率:1.4%)
(但し、一定の新築住宅に対しては、固定資産税の減額制度が講じられており、対象資産に係る一定期間の固定資産税については上記の税額から一定割合が控除されます。)
⑤ 課税標準額
イ) 土地の課税標準額
土地・家屋については価格の据置制度がとられており、基準年度の賦課期日における価格で固定資産課税台帳(市町村が、固定資産の状況及び課税標準である固定資産の価格を明らかにするために、備えることが義務付けられている台帳をいいます。概況、納税義務者、価格等が登録されます。)に登録されたものが基準年度から第3年度までの課税標準となるのが原則です。
基準年度とは、通常3年毎に評価が行われますが、その評価が行われる年度をいいます。
また、土地については、地価(評価額)の上昇により税負担が急増することがないようにするために税負担の調整措置が講じられています。
なお、土地の評価は、路線価を付設し、この路線価を基礎として路線に沿接する土地ごとに奥行、形状、利用上の制限等を加味して算出されます。
評価額は時価のおよそ60%~70%程度になるのが一般的です。
ロ) 家屋の課税標準額
家屋についても土地と同様に価格の据置制度がとられています。
家屋の評価は、評価対象と同一のものをその場所に新築するものとした場合に必要とされる建築費を求めた後、評価時点における減価を考慮して算出されます。
建築費のおよそ50%~70%程度になることが多いようです。
ハ) 償却資産の課税標準
償却資産については、土地・家屋のような据置措置はありません。
取得価額から毎年の減価償却額見合いを控除することで毎年の課税標準額(評価額)が決定されます。
ニ) 課税標準の特例
ⅰ) 住宅用地に係る課税標準の特例
宅地のうち住宅用地に対しては課税標準の特例措置が講じられており、評価額に6分の1(又は3分の1)を乗じた額が課税標準となります。
ⅱ) 公共事業等に対する課税標準の特例
公共料金等の抑制等の政策上の見地から一定の固定資産に対しては、課税標準の特例措置が講じられており、評価額に一定の特例率を乗じた額が課税標準となります。具体例としては、飛行機や船舶が挙げられます。
用途などによって特例率、特例適用期間が変わってきます。
2.年間のスケジュール
上記1.において課税客体、納税義務者、課税標準と課税要件を簡単に確認しましたので、次に固定資産税の年間スケジュールを確認したいと思います。
土地・家屋と償却資産で少し手続きが異なりますので、土地・家屋と償却資産に分けて確認していきます。
① 土地、家屋
登記簿
↓
固定資産評価員による実地調査
↓
固定資産評価員による評価(固定資産評価基準に基づく評価)
↓
固定資産評価員から市町村長へ評価調書の提出
↓
市町村長による価格等の決定(3月31日まで)
↓
市町村長による固定資産課税台帳への登録(価格決定後遅滞なく)
↓
市町村長による固定資産課税台帳への登録をした旨を公示
↓
・市町村による納税者への納税通知書の送付(納付期限前10日まで)
・(新価格ベースの)固定資産課税台帳の閲覧が可能(4月1日以降)
・縦覧帳簿の縦覧が可能(4月1日から一定期間)
↓
納税者による納付(原則:4月、7月、12月及び翌年2月中)
② 償却資産
所有者による償却資産申告書の提出(1月31日まで)
↓
固定資産評価員による実地調査
↓
固定資産評価員による評価(固定資産評価基準に基づく評価)
↓
固定資産評価員から市町村長へ評価調書の提出
↓
市町村長による価格等の決定(3月31日まで)
↓
市町村長による固定資産課税台帳への登録(価格決定後遅滞なく)
↓
市町村長による固定資産課税台帳への登録をした旨を公示
↓
・市町村による納税者へ納税通知書の送付(納付期限前10日まで)
・(新価格ベースの)固定資産課税台帳の閲覧が可能(4月1日以降)
・縦覧帳簿の縦覧が可能(4月1日から一定期間)
↓
納税者による納付(原則:4月、7月、12月及び翌年2月中)
※一定の償却資産については上記手続きとは異なるものもあります。
3.各論
上記2.の年間のスケジュールにおいて納税者と関係の深い部分を確認したいと思います。
① 償却資産申告
固定資産税の納税義務がある償却資産の所有者は、毎年1月1日現在における償却資産について、その所在、種類、数量、取得時期、取得価額、耐用年数、見積価額等を1月31日までに償却資産の所在地の市町村長に申告しなければなりません。
土地・家屋とは異なり償却資産については市町村側が登記簿をもって課税客体等を把握することができないため、償却資産の所有者に対して申告義務が課されています。
市町村長は所有者の申告に基づいて、所要の手続きを経て評価額を決定します。
償却資産申告は、償却資産に係る固定資産税課税手続きの入り口的役割を担っているわけです。
税額を確定させる法人税や所得税などの申告とは少し趣旨が異なりますが、不申告や虚偽の申告に対してはペナルティがあります。
・不申告…3万円以下の過料
・虚偽の申告…1年以下の懲役又は20万円以下の罰金
また、申告書の内容に関して、市町村の徴税吏員等による調査が入ることもあります。
② 固定資産課税台帳の閲覧
納税義務者、土地・家屋の賃借権等を有する者等は、納税義務又は賃借権等に係る固定資産の固定資産課税台帳を閲覧することができます。
閲覧は一年を通じて行うことができます。
但し、台帳の更新時期には注意する必要があります。
例えば、納税通知書・課税明細書の交付を受ける前に自己資産の課税内容を確認したい場合には、3月31日以降に市町村長による台帳登録完了の公示がされますので、公示後に閲覧申請する必要があります。
③ 縦覧帳簿の縦覧
納税者が、自己の土地又は家屋について固定資産課税台帳に登録されている価格と同一市町村内の他の土地又は家屋の価格とを比較することができるように縦覧制度が設けられています。
縦覧できる者は納税者に限られ、土地であれば、所在・地番・地積・価格を見ることができます。
近隣の価格と比べることで自己の価格の適正さを確認することが趣旨ですので、プライバシー保護の見地から納税義務者の氏名や特例率、課税標準を見ることはできません。
なお、償却資産については縦覧制度はありません。
また、縦覧には期間が定められています。原則的には4月1日から、4月20日と当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までとされています。
④ 納付と納期
固定資産税の徴収は普通徴収の方法により行われます。従いまして、法人税や所得税とは異なり、納税者が申告書を作成する義務はありません。
納税通知書(土地・家屋の場合には納税通知書と課税明細書)が市町村から送られてきます。
なお、価格や納税通知書の内容に不服がある場合には、固定資産評価審査委員会への審査の申出、市町村長への不服申立て等をすることが、納税者の権利としてできることとなっています。
但し、申出期間が定められているので、注意が必要です。
納期は、4月、7月、12月及び2月中が原則ですが、市町村によっては異なってきます。 例えば東京都特別区の場合には、6月、9月、12月及び2月が納期となります。
なお、納期は4回に分かれていますが、一括納付や期限前納付をすることも可能です。
また、期限後納付の場合には延滞金が課されます。