1.財産調査
滞納者への財産調査について
【概要】
私的債権を回収するためには、債権者が強制執行等の申立てを行い差押え、競売の手続きを行うことになりますが、国税債権の徴収については、裁判所に申し立てることなく、税務署長等が滞納処分のすべての手続きをすることによって、国税債権の回収を強制的に実現することができます。
今回は、国税の滞納処分に先立って行われる財産調査についてまとめてみたいと思います。
【1】財産の調査
(1)質問及び検査
国税の徴収職員は、滞納処分のために滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、滞納者、滞納者の特殊関係者等に質問し、その者の財産に関する帳簿書類(電磁的記録を含みます。)を検査することができます。
なお、「滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるとき」とは、滞納者の財産の有無や所在、利用状況や第三者の権利の有無などを明らかにするために調査をする必要があるときをいいます。
(2)捜索
①滞納者の物、住居等の捜索
国税の徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができます。なお、この「捜索」は上記(1)の「質問及び検査」よりも強制力が強い規定となります。
②第三者の物、住居等の捜索
国税の徴収職員は、次のいずれかに該当する場合に限り、第三者の物又は住居その他の場所について捜索することができます。
(a)滞納者の財産を所持する第三者がその引渡しをしないとき
(b)滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合においてその引渡しをしないとき
③捜索の権限
国税の徴収職員は、上記②の捜索に際し必要がある場合には、滞納者若しくは第三者に戸、金庫、その他の容器等を開かせ、又は自らこれらを開くため必要な処分をすることができます。
なお、徴収職員が自ら開く場合とは、滞納者又は滞納者の財産を所持する者が開扉の求めに応じないとき、不在等のやむを得ないときに限ります。
④捜索の時間制限
捜索は、日没後から日の出前まではすることができません。ただし、日没前に着手された捜索は、日没後まで継続することができます。
なお、飲食店等の夜間でも公衆が出入りすることができる場所については、国税の徴収職員が滞納処分の執行のため、やむを得ない相当の理由があるときは、上記にかかわらず、日没後でも、営業時間内は捜索することができます。
⑤捜索の立会人
国税の徴収職員は、捜索をするときは、その捜索を受ける滞納者若しくは第三者又は同居の親族若しくは使用人等の従業者で相当のわきまえのある者を立ち会わせなければなりません。
なお、これらの者が不在であるときや、立会に応じないときには、成年に達している者2人以上又は警察官等を立ち会わせなければならないこととされています。
⑥出入禁止
国税の徴収職員は捜索、差押などをする場合においてその処分をするため支障があるときは、その処分をする間は、次に掲げる者以外の者について、その場所に出入りすることを禁止することができます。
(a) 滞納者
(b) 差押財産を保管する第三者及び、上記(2)②の規定により捜索を受けた第三者
(c) (b)の同居の親族
(d) 滞納者の国税に関する申告等につき代理する権限を有する者(税理士等)
⑦捜索調書の作成
国税の徴収職員は、捜索したときは捜索調書を作成しなければなりません。
この捜索調書は、その謄本を、捜索を受けた滞納者又は第三者、及びそれ以外に立会人がいるときは、その立会人に交付しなければなりません。
⑧官公庁等への要請
国税の徴収職員は、滞納処分に関する調査について必要がある場合には、官公署等に、当該財産の調査に関して参考となる帳簿書類等の閲覧等、その他の協力を求めることができるものとされています。
⑨身分証明書の呈示
国税の徴収職員は、上記の質問、検査、捜索をするときは、身分証明書を携帯し、関係者の請求があるときはこれを提示しなければなりません。