2.相違点(1)
ここからは具体的なIFRSと日本基準の相違点です。日本基準もコンバージェンスの過程で新基準や新基準の公開草案がたくさん出ており、差異が解消される方向にありますが、現状、主に以下のような相違点があります。
連結財務諸表
| 項目 | IFRS | 日本基準 |
| 連結の範囲 | 全ての子会社を含める | 支配が一時的な会社等については免除規定がある |
| 子会社の時価評価 | 全面時価評価法のみ | 全面時価評価法or部分時価評価法 |
| 連結調整勘定(のれん) | 償却せず減損の対象。負ののれんは取得時に利益計上 | 20年以内の均等償却 |
| 持分法 | 連結の有無に係わらず適用 | 連結を作成している場合のみ適用 |
| 関連会社の決算 | 原則として投資会社の決算日に合わせて財務諸表を作成 | 重要な差異のみを調整 |
| 関連会社の会計方針 | 親子間で統一 | 統一が望ましい |
| ジョイント・ベンチャー(※) | 連結対象 | 対応する規定がない |
(※)複数の当事者が共同支配により経済活動を行う契約上の取り決め
連結(SPC)
一般の事業会社と同様に実質的な支配の有無を検討した上で、SPC固有の要件により判定する。
〔実質的な支配の有無〕
- 親会社がある事業体の議決権の過半数を直接的にまたは子会社を通じて間接的に所有している場合は、その所有が支配でないという明らかな反証が認められる状況を除き、支配が存在していると推定される。
- 親会社がある事業体の議決権の過半数を所有していなくても、次の場合には支配が存在するとみなされる。
- 他の投資企業との協定によって、議決権の過半数を支配する力を有する場合
- 法令又は契約によって、企業の財務方針及び営業方針を左右しうる力を有する場合
- 取締役会又は同等の経営機関の構成員の過半数を、選任または解任する力を有する場合
- 取締役会又は同等の経営機関の会議において、過半数の投票権を有する場合
〔SPC〕
SPCにおいては、上記の支配の事実を確認する指標がないケースが多いため、追加で以下の4要件を検討することになる。
- SPCが企業の特定のビジネス・ニーズに従い、当該企業がSPCの活動から便益を享受できるように当該企業のための活動を行っていること
- 企業がSPCの活動からの便益の過半を享受できる意思決定権を有している、または企業がSPCの運営方法を予め定めておき、SPCが自動的に運営されていること
- 企業がSPCからの便益の過半を享受する権利を有しており、それに伴いSPCの活動から発生しうるリスクにさらされていること
- 企業が、SPCの活動から便益を得るために、SPCまたはその資産に関連する残余リスクまたは所有によるリスクの過半を有していること
SPCが連結対象になるか否かは、あらゆる要因を加味して決定するが、これら4要件を満たす場合には、連結対象になると考えられる。
セグメント
| 項目 | IFRS | 日本基準 |
| セグメント | ①事業別 ②地域別 |
①事業の種類別 ②所在地別 ③海外売上高 |
| セグメントの認識方法 | マネジメント・アプローチ | 会社の判断 |
| 開示情報 | ①収益 ②損益 ③資産・減価償却費 ④負債 ⑤持分法投資損益 |
①売上高 ②営業損益 ③資産・減価償却費 |
| 全社費用 | 配分しない | 会社の判断 |
金融商品
| 項目 | IFRS | 日本基準 |
| 消滅の認識 | リスク・経済価値アプローチ+譲受人の自由処分権の有無(※) | 財務構成要素アプローチ |
| 保有目的による区分 | 全ての金融資産について、公正価値で測定する金融資産、満期保有、貸付金及び債権、売却可能目的に区分 | 有価証券についてのみ売却目的、満期保有、その他に区分 |
| 有価証券評価差額金 | 純資産の部に計上 | 全部資本直入法or部分資本直入法 |
(※)リスク・経済価値アプローチをベースにするが、譲受人の譲受資産に対する自由処分権(譲渡人による保証、買戻権、買戻義務等)の有無を加味して、消滅を認識する。