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コスト管理
中小企業にとって一番のコストは"時間"
管理会計には労務管理、在庫管理など、各種管理会計が存在しますが、ここでは、少し違った視点でコスト管理を取り上げてみたいと思います。 企業には人件費、家賃、広告宣伝費など色々な経費が発生しますが、従業員数十人、年商数億円規模の中小企業においては、これらに各種管理会計を適用して管理しても、実態に即しないケースが多いです。また何より、各費目の内容や金額が社長の頭の中に入っていて、実質的な管理がなされているケースが少なくありません。
私は、中小企業の一番のコストは、"時間が経つこと"だと思っています。 いかにして全社員に対し“時間”に対するコスト意識を持たせるか、いかにして限られた時間の中で最大限の効果をあげてもらうか、この“時間に対するコスト意識”を持つことが、中小企業には有効だと思っています。 〜A社〜
A社は若い会社ということもあり、深夜残業や週末出勤を行うこともありますが、基本的にはカレンダー通りの営業日となっています。つまり、営業日は月に21日〜22日、年間で250日程度です。 この日数で経費(販管費+利息)を割ると、 (560,000千円+8,000千円)÷250日=2,272,000円/日 となります。 つまり、少し視点を変えると、A社は、1営業日という時間を、2,272,000円払って買っていることになります。2,272,000円払うことで、1日会社を動かすだけの人件費、家賃、水道光熱費、利息などを払っているのです。 月曜日が過ぎると227万円を支払い、火曜日になると227万円払う、水曜日にはまた227万円・・ということになります。 A社は幹部社員の間でこの情報を共有し、会社全体の仕事のスピードを上げて、結果的にコストを下げるための管理会計の一つとして活用しています。 1営業日当たりのコストを、具体的な数字を見せながら社員と共有することは、時間というコストに対する意識を持たせて、仕事の密度を上げる上で有効になるケースが多いです。 ぜひ一度試してみてください。
そして次に、この時間に対するコスト管理の延長で出てくる粗利管理があります。 一般的には、粗利は人件費の3倍が目標と言われ、これをそのまま社員に対する号令に使っている会社もあります。 しかし、粗利率は業種により異なり、同じ業種でも、会社の状況(規模、信用、商品の良し悪し、広告費のかけかた等)や社員の役職により、社員が稼ぐべき粗利額も変わってくると思っています。 つまり、中小企業では、社員に単純に「粗利は人件費の3倍稼ぐように」と言っても、社員の心に響かないことが多いのです。 そこで会社の実態に合わせた形で活用できるのが、上記の時間当たりのコストです。 上記のA社は、役員3名+営業6名の計9名が粗利を稼ぐべき部隊ですので、 2,272,000円÷9名=252,444円 が、1人当たりの営業マンが1営業日当たりに稼ぐべき最低限の粗利となります。 中小企業では、単純に「人件費の3倍」と言っても、「その計算根拠は?なぜ3倍?」と疑問に感じ、モチベーションに繋がりづらいです。また、「年間いくら」、と提示しても、現実的な感覚にブレイクダウンすることが難しいです。 しかし、時間当たりのコスト意識を植え付けた後に、この感覚に基づいて目標とすべき粗利額を提示すると、社員が現実的な数字として受け入れやすいです。 時間当たりコスト管理を導入した数か月後に、ぜひ一度試してみてください。 (2012.2.9) |
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