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税制改正と税繰延税金資産計上への影響
税制改正

  平成23年度の税制改正により、法人税率の引き下げと復興特別法人税の創設、そして資本金1億円超の会社は、欠損金の繰越控除が80%に制限されることになりました。
  概要は以下の通りとなります。

法人税率の引き下げ

・税率が30%から25.5%に引き下げ

・資本金が1億円以下である法人の年800万円以下の部分の所得について、22%から19%に引き下げられ、さらに時限的な措置法により現行18%に引き下げられている税率が15%に引き下げ

・H24.4.1以後開始事業年度から適用

復興特別法人税 H24.4.1からH27.3.31までの期間内に開始する事業年度について、基準法人税額の10%を復興特別法人税として課税
欠損金の繰越制限 資本金1億円超の会社等について、H24.4.1以後開始事業年度より、青色欠損金及び災害損失欠損金の繰越控除額は、その繰越控除をする事業年度の繰越控除前の所得金額の80%に制限。
他方で、H20.4.1以後に終了した事業年度に係る欠損金額については、繰越期間が7年から9年に延長。

※普通法人である株式会社の単体納税を前提としています。

  3月決算、資本金1億円超、外形標準課税の対象法人で、住民税と事業税が全国の標準税率によった場合、各年度の実効税率は以下の通りとなります。

H24.3期 H25.3期 H26.3期 H27.3期 H28.3期
39.54%(※1) 36.99%(※2) 36.99% 36.99% 34.61%(※3)

(※1)(法人所得税30%+30%×住民税法人割17.3%+事業税所得割2.9%+地方法人特別税(2.9%×148%))/(1+2.9%+2.9%×148%)=39.54%

(※2)(法人所得税25.5%+25.5%×(復興特別法人税10%+住民税法人割17.3%)+事業税所得割2.9%+地方法人特別税(2.9%×148%))/(1+2.9%+2.9%×148%)=36.99%

(※3)(法人所得税25.5%+25.5%×住民税法人割17.3%+事業税所得割2.9%+地方法人特別税(2.9%×148%))/(1+2.9%+2.9%×148%)=34.61%

繰延税金資産の計上への影響

これら改正が繰延税金資産の計上に具体的にどのような影響を及ぼすかは、『繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取り扱い』の会社分類に沿って判断する必要があります。

会社分類 影響
(会社分類@)
期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している会社
繰延税金資産の全額計上が可能であり、改正前は適用する税率も一律であったため、スケジューリングを行う必要がなかった。
改正後も、一時差異が翌期に全額解消される場合にはスケジューリングの必要はないと考えられるが、税率は変更となるため、この点は加味する必要がある。
また、一時差異の解消が翌々期以降に及ぶ場合は、解消される期により税率が異なるため、スケジューリングが必要になるケースもある。
欠損金の繰越制限については、欠損金は基本的には翌期に全額繰越控除されるため、翌期の税率変更の影響のみ加味すればよい。
(会社分類A)
業績は安定しているが、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社
スケジューリングが可能な範囲で繰延税金資産の全額計上が可能であり、改正前は税率も一律であったことから、それほど厳密なスケジューリングが求められないケースもあった。
改正後は、一時差異がどの期で解消されるかにより計上可能額が変わるため、厳密なスケジューリングが求められる。
また、欠損金の繰越制限も踏まえて、欠損金が繰越控除される期を厳密に把握する必要がある。
(会社分類B)
業績が不安定であり、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社
概ね5年内の課税所得を限度として、かつスケジューリングの範囲内で計上が可能。
最も改正の影響がでる会社であり、5年内のうちどの期で一時差異が解消されるかを検討するとともに、従来であれば5年内で解消できた欠損金も、控除制限により解消が6年目以降に及ぶ可能性があるため、欠損金の繰越制限も踏まえた厳密なスケジューリングが求められる。
(会社分類C)
重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社
翌期に確実に見込まれる課税所得の範囲内で、かつスケジューリングの範囲内で計上が可能。
改正による影響は無く、従前通り、翌期の所得の見積もり及びスケジューリングを行い、その範囲内で計上することになる。
(会社分類C但書)
重要な税務上の繰越欠損金や過去の経常的な利益水準を大きく上回る将来減算一時差異が、例えば、事業のリストラクチャリングや法令等の改正などによる非経常的な特別の原因により発生したものであり、それを除けば課税所得を毎期計上している会社
会社分類Bと同様
(会社分類D)
過去連続して重要な税務上の欠損金を計上している会社
改正による影響はなく、原則として、計上はできない

(2012.05.09)

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