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「消費税の納税義務者」

 これから事業を行っていこうとする個人事業者の方、新規に法人を設立して事業を行っていこうとする方々、若しくは、すでに事業を行っておられる事業者の方々にとって、税負担を考えたときに、重要なポジションにあるのが消費税。今回は、そんな消費税の納税義務について、説明します。

1、納税義務者
 消費税の納税義務は、事業を行う個人または法人が、国内において課税資産の譲渡等、若しくは、課税貨物の引き取りを行った場合に生じます(消費税法第5条)。
 但し、事業規模の小さい小規模事業者にまで納税義務を負わせることは、申告作業一つとってみても、事業者の事務負担増は必至。従って、そのあたりの事情も考慮して、ある程度の規模以下の事業者については、消費税の納税義務を免除する規定が設けられており、それが、下記2の「小規模事業者に係る納税義務の免除」です。(消費税法第9条)

2、小規模事業者に係る納税義務の免除
 事業者のうち、その前々年、若しくは前々事業年度(これを、「基準期間」と呼びます。)における課税売上高(あくまで、消費税が課税される取引のみ。受取利息や、有価証券、及び土地の譲渡、住宅の賃料収入等のいわゆる非課税取引と呼ばれるものは含まれません。)の合計額が1,000万円以下の者については、消費税を納める義務が免除されます。
 従って、この、基準期間における課税売上高の金額判定を行ってみて、1,000万円以下であれば免税事業者となり、消費税を納める義務はありません。

 なお、この判定を行うにあたっては、その基準期間において納税義務があるか無いかによって、若干、判定金額が異なってきますので、注意が必要です。
 基準期間において免税事業者であった場合、例え、消費税の額を考慮し、税込金額にて日常の取引を行っていたとしても、計算上は、その取引には消費税が課されていないと考えるため、税込金額全額で判定され、逆に、基準期間において納税義務がある場合には、消費税の額を控除した後の税抜金額にて判定を行います。(消費税法基本通達1-4-5)
 従って、取引の年間合計額が税込でも税抜きでも、1,000万円ギリギリの方は特にご注意を。課税取引か、非課税取引か…ひとつの判定を間違えただけでも、結果が大きく変わってしまう場合があります。

 また、設立初年度等、その基準期間がない個人事業者又は法人についても、納税義務は免除されます(個人事業者が法人成りした場合にも同様です。)。(消費税法基本通達1-4-6)

3、基準期間の判定
 それでは、上記を踏まえ、実際に、納税義務の判定をみてみましょう。…の前に、基準期間の判定について重要なことがありました。

 個人事業者であれば、暦年で考えますので、その判定を行おうとする年の前々年は当然一年間。それに対し、例えば半年決算法人など、事業年度が一年に満たない法人の場合、それも、単純に前々事業年度で判定して良いのでしょうか?
 そんなはずはありません。前々事業年度が一年未満の法人については、「その事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した各事業年度を併せた期間」が基準期間となり、その期間内に生じた課税売上高を一年に換算した金額によって判定しますので、場合によっては、個人と法人とで納税義務の判定が異なるので、気をつける必要があります。(消費税法第2条14項、同9条第2項二)

 具体的な判定等、詳細は下記の図をご参照下さい。

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4、新設法人の特例
 上記の免税事業者は、小規模な事業者の事務負担等を考慮して定められているものなので、もう一つ、覚えておいていただきたい規定「新設法人の特例」があります。
 これは、設立したばかりで基準期間のない法人であっても、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人については、小さな会社ではないので免税にはしませんよ、という規定。
 ただ、これはあくまで法人に限っての規定ですので、個人事業者については適用はありません。(消費税法第12条の2)

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5、最後に
 消費税の納税義務について、基本的なところをざっと説明してまいりましたが、消費税については、現在、税制改正による大きな変更が予定されている税法。大きく取り沙汰されているのは、税率アップの部分ですが、上記の納税義務判定における、1,000万円の基準などについても、引き下げられる、若しくは廃止されてしまうのではないか…?という懸念もあるため、気づいたら、いつの間にか消費税負担が資金繰りを圧迫していた!なんて事態にならないよう、今後の動向には十分注意しておく必要があります。

(2008.5.26)



⇒2.「相続があった場合」についてはこちら

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