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匿名組合

法的取り扱い


商法
 「匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。」と規定されている(商法第535条)。匿名組合員は「営業者の業務を執行し、又は営業者を代表することができ」ず、「営業者の行為について、第三者に対して権利及び義務を有しない」(同法第535-542条)。

不動産特定共同事業法
 「不動産特定共同事業契約を締結して当該不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を行う行為」は不動産特定共同事業とされ(不動産特定共同事業法第2条第4項)、営業にあたっては主務大臣叉は都道府県知事の許可を受けなければならない(同法第3条第1項)。

 匿名組合契約は不動産特定共同事業契約に該当するが、営業者は保有する不動産を信託し、運用対象を有価証券にすることによってこの規制の適用外となる。

金融商品取引法
 保有資産となる信託受益権がみなし有価証券に該当するため、営業者は金融商品取引法の適用を受ける。そのため営業者は匿名組合出資の私募を行うために第二種金融商品取引業者、出資された資金の運用を行うために投資運用業の登録が必要となるが、一定の要件のもとに届出を提出することによって金融商品取引業者の登録が不要となる(金融商品取引法第63条適格機関投資家等特例業務)。金商法上の適格機関投資家の範囲は証券取引法より広がったが、登録の届出ができるのは1月と7月であり、登録が完了するのが3月と9月であるため、新たに適格機関投資家となって、適格機関投資家等特例業務の適用を受けることを予定している場合注意が必要である。

 営業者が第三者である投資運用業登録者と投資一任契約を締結し運用を任せること等一定の要件を満たす場合は、匿名組合事業は金融商品取引業から除かれる(金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第16条第1項第10号)。

 なお、金商法施行時においてすでに運用行を行っている営業者については、届出を提出することで引き続き運用業を行うことができる(金融商品取引法附則第48条)。

 合同会社の社員権はみなし有価証券に該当し、中間法人は集団投資スキームであるから、中間法人が社員権を保有する場合は自己運用業の登録が必要になる。実務上は定款で基金拠出者に対しては基金拠出額を超えて配当を行わず、残余財産の分配を行わない旨を明記することでこれを回避している場合が多い。


税法上の取り扱い

法人税
 信託の受益者は信託財産に属する資産及び負債を直接保有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者の収益及び費用とみなして、法人税が課される(法人税法第12条第1項)。よって、匿名組合事業として不動産信託受益権を保有し配当を受ける行為は、現物不動産を保有している場合と同様の課税を受けることとなる。

 匿名組合自体は法人や人格のない社団等に当らず(法人税基本通達1-1-1)、納税義務者に該当しない。(法人税法第4条第1項)
 匿名組合員である法人は「匿名組合営業について生じた利益の額又は損失の額については、現実に利益の分配を受け、又は損失の負担をしていない場合であっても、匿名組合契約によりその分配を受け又は負担をすべき部分の金額をその計算期間の末日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入し」、営業者は匿名組合員に分配すべき損益を所得金額から除く(同通達14-1-3)。従って匿名組合の計算期間を設定する場合は匿名組合員の決算期に配慮する他、営業者の事業年度と匿名組合の計算期間の終了日が一致するよう注意する必要がある。事業年度末に終了していない計算期間にかかる所得は営業者が課税を受けるためである。

 一般に公正妥当と認められる会計基準に従って損益を計算し分配する旨、匿名組合契約に規定されることが多いが、この会計基準が税法上の所得計算規定と異なる場合、納税準備金として留保される営業者報酬を超えて納税額が発生してしまい、現金が不足する可能性があるため、匿名組合契約書作成にあたり十分注意する必要がある。

消費税
  1. SPCに係る消費税
     匿名組合の事業に属する資産の譲渡等又は課税仕入れ等については、営業者がその納税義務者となる(消費税基本通達1-3-2)。したがって、匿名組合出資者の段階で消費税を認識するわけではなく、営業者であるSPCで消費税を認識することとなる。
     物件売却時に固定資産税及び都市計画税の精算を行うことが一般的だが、建物に係る固定資産税等については売買代金の一部を構成するものとして課税の対象となる(同通達10-1-6)。これは、本来の納税義務者は、あくまでも各年1月1日の所有者であることから、税務上は負担する義務のないものを相対の契約により負担していることとなり、売買代金の調整として考えるためである。

  2. 匿名組合出資の譲渡に係る消費税
     匿名組合出資者の持分の譲渡は、「有価証券に類するものの範囲等」に規定する「その他法人の出資者の持分」に該当し、有価証券に類するものの譲渡として非課税取引として取り扱われる。なお、この「出資者の持分」には、人格のない社団等、民法の組合に対する出資持分等も含まれる(消令9条①二、消基通6-2-1(2)ロ)。

  3. 匿名組合配当に係る消費税
     匿名組合契約に基づく分配金(TK配当)は、消費税の課税対象取引とはならないため、消費税は課税されません。

源泉所得税
 匿名組合契約に基づく利益の分配は支払の際、その利益の分配について20%の所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない(所得税法第161条第1項第12号、第164条第2項、第170条、第210条、第211条)。

損益分配と現金分配
 損益分配は計算期間中に発生した匿名組合事業にかかる利益または損失を匿名組合員に分配するのに対し、現金分配は分配日時点の現金残高のうち一定の留保額を控除したものを分配するのが一般的であり、両者は一致しない。利益の配当を超える現金の分配は、出資金の戻しとして取扱う旨契約上定められる場合が多い。


(2008.4.14)



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