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「公益法人制度改革について」

 公益法人制度改革については、平成14年より内閣官房行政改革推進事務局を中心に改革が進められてきましたが、今般、平成20年12月1日より新制度がスタートすることとなり、以下、税務に関する事項を中心に概要についてまとめておりますので、ご確認ください。

従来の公益法人制度
 法人設立には、主務官庁の許認可が必要

改正後
 その行う事業の公益性の有無にかかわらず、登記を行うことによって誰でも設立が可能となります。(一般社団法人・一般財団法人(以下、「一般社団法人等」という)の設立)
 但し、設立にあたっては合名会社等の設立登記同様、登録免許税6万円が必要となります。

 なお、一般社団法人等のうち希望する法人については、民間有識者による委員会の意見に基づき行政庁が公益性を判断し、認定を受けたもののみが公益社団法人・公益財団法人(以下、「公益社団法人等」という)となり、一定の税優遇措置等を受けることが可能となります。



 また、一般社団法人等については、税務上さらに非営利型法人と特定普通法人とに分類され、非営利型法人については、従来の公益法人と同様に収益事業のみに対する課税が行われ、それ以外の特定普通法人については通常の株式会社等と区別する理由がないため全所得課税が適用されます。

【非営利型法人(新法人税法第2条9の2、同法施行令第3条)】
 次の(1)または(2)のいずれかに該当する法人(但し、清算中に各要件のすべてに該当することとなった場合には、この適用はありません)

  • (1)その行う事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であって、下記1〜4の全ての要件を満たす一般社団法人等
    1. 剰余金の分配を行わない旨が定款において定められていること
    2. 解散時の残余財産を国若しくは地方公共団体または公益社団法人等に帰属させる旨が定款において定められていること
    3. 1、2の定款の定めに反する行為を決定し、又は行ったことがないこと
    4. 理事及びその親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること


  • (2)会員に共通する利益を図るための事業を行うことを主たる目的としている法人であって、下記1〜6の全ての要件を満たす一般社団法人等
    1. 会員の相互の支援、交流、連絡その他の当該会員に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的としていること
    2. 会員が会費として負担すべき金銭の額の定めまたはその金額を社員総会若しくは評議員会の決議により定めることが定款(定款に基づく会員約款等を含む)において定められていること
    3. 主たる事業として収益事業を行っていないこと
    4. 特定の個人または団体に剰余金の分配を受ける権利を与える旨、及び解散時の残余財産を特定の個人または団体(国等を除く)に帰属させる旨のいずれについても定款において定められていないこと
    5. 特定の個人または団体に剰余金の分配その他の方法により特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがないこと
    6. 理事及びその親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること


現行公益法人について
 現行の民法34条に基づき設立された公益法人については、特例社団法人・特例財団法人(以下、「特例民法法人」という)として存続します。
 特例民法法人については、施行日から起算して5年を経過するまでの間(移行期間)に公益性の認定等を受ける必要があり、もし、これを受けない場合には、通常の社団または財団への移行の許可申請ができるとされており、更に、この許可申請をも受けない場合においては、移行期間経過日において解散するものとみなされます。
 なお、特例民法法人から公益認定法人、若しくは通常の社団または財団への移行申請については、どちらも、旧主務官庁を経由して行政庁へ申請することとなります。

税優遇措置
 公益社団法人等に対する優遇措置については、平成20年度税制改正により拡充され、法人の種類に応じ、以下のとおり様々な規定が設けられることとなっています。
法人の種類 課税範囲
(法人税法
第5条、第7条)
税率
(新法人税法
第66条)
みなし
寄付金

(新法人税法
第37条第5項)
寄付金の
損益算入
限度額

(新法人税法施行令第73条、
第73条の2)
消費税法上の取扱い
(消費税法
第60条)
公益社団法人・公益財団法人 法人税法上の収益事業についてのみ(但し、公益目的事業に該当するものを除外) 30%(但し、年800万円以下の部分については22%) 収益事業に属する資産のうちから公益目的事業のために支出した金額は、その収益事業に係る寄附金の額とみなす 所得金額の50%、若しくはみなし寄付金額のいずれか多い金額 制度上、差はなし(特定収入等があった場合には調整あり)
一般社団法人・一般財団法人 非営利型法人 法人税法上の収益事業についてのみ 適用なし 所得金額の2.5%(但し、特定公益増進法人に対する寄付金については、所得金額の5%)
特定普通法人 全ての所得
特例民法法人(施行から5年間のみ) 法人税法上の収益事業についてのみ 22% 適用あり 所得金額の20%

 さらに、従来の公益法人に対し認められていた同法人が支払いを受ける利子等、配当等についての所得税の非課税規定については、その対象が公益社団法人等に対するものに改正され、一般社団法人等は含まれないこととなりますので、注意が必要です。(新所得税法第11条)

 また、特定公益増進法人に対する寄付金を支出した場合に、所得基準額の計算が現行の100分の2.5から100分の5.0相当額に拡大(法人税法施行令77条の2)されているなどは、公益法人等以外の法人にとって覚えておきたい改正です。


 これらの改正については、原則としてすべて新制度がスタートする平成20年12月1日以後適用となりますが、みなし寄付金の拡充制度については平成20年4月1日以後となりますのでご留意ください。

(2008.9.16)


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