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クラウドファンディング
クラウドファンディングに対する規制について

  一般的にも知られるようになってきたクラウドファンディングですが、4月11日に行われた内閣府の創業等ワーキング・グループにおいて、投資家から資金を集める目的でのクラウドファンディングの活用について、金融庁へのヒアリングが行われました。
  まだ具体的な提言は出ていませんが、従来の寄付型のクラウドファンディングではなく、資金調達目的での活用の可否について検討を始めているほか、参考となる米国の法制度に関する報告も行われており、今後の規制の方向性の予測に資する内容となっています。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg/sogyo/130411/item2.pdf

金融商品取引法研究会研究記録第40号『米国JOBS法による証券規制の変革』

http://www.jsri.or.jp/publish/record/pdf/040.pdf

JOBS法のうち、クラウドファンディングを対象とする第3章(=クラウドファンディング法)の概要

証券法4条(a)(6)

  クラウドファンディングのうち一定の要件を満たすものが、証券法第5条(※証券の勧誘に当たりSECへの登録を求めるものであり、日本の有価証券届出書に相当する書類の提出を求める法律)の適用除外とされています。

≪一定の要件≫

@直近12ヶ月間の売付総額が100万ドル以下であること

Aいずれかの投資家に対する12ヶ月間の売付総額が一定の金額を超えないこと
<一定の金額>
投資家の年収又は純資産が10万ドル未満の場合
…2,000ドルまたは年収もしくは純資産の5%相当額のいずれか大きい額
投資家の年収又は純資産が10万ドル以上の場合
…年収または純資産の10%相当額

B証券法4A条(a)の要件(※後述)を遵守するブローカーまたはファンディング・ポータルを通じて取引が行われること

C発行会社が証券法4A条(b)の要件(※後述)を遵守すること

証券法4A条(a) 仲介者の要件

@ブローカー又はファンディング・ポータルとして登録すること

A適用ある自主規制機関に登録すること

BSECがルールにより定める開示内容を提供すること

C各投資家が、(A)SECがルールにより設ける基準に従って投資家教育情報を検討し、(B)投資全額を失うリスクを冒していることを理解していること及びかかる損失を負担することができることを積極的に確認し、かつ、(C)新興企業・中小企業への投資に一般的に伴うリスクの水準、流動性の欠如のリスク及びSECがルールにより定めるその他の事項についての理解を示す質問対応を行うよう、確保すること

D詐欺のリスクを低減させるためにSECがルールにより設ける措置(各役員・取締役・20%超保有株主の履歴・違反歴の入手を含む。)をとること

Eいずれかの投資家に対して証券が売却される最初の日より21日前の日以前に、発行会社が証券法4A条(b)に基づき提供する情報を、SEC及び潜在的投資家に対して提供すること

FSECがルールにより定めるところにより、目標募集金額に達して初めて手取り金額を発行会社に対して提供されるよう確保すること、及び、投資家が投資のコミットメントを撤回することを許容すること

Gいずれかの投資家が12ヶ月間に証券法4条(6)によりオファーされる証券の購入が同条(6)(B)所定の投資制限額を超えないことを確保するよう、SECがルールにより定める措置を取ること

H投資家から収集した情報のプライバシーを保護するためにSECがルールにより定める措置をとること

Iプロモーター、ファインダー又はリードジェネレーターに対して、潜在的投資家の個人特定情報を提供したことについての対価を提供しないこと

Jその業務を利用する発行会社について、自己の取締役・役員・パートナーが金銭的利害を有することを禁止すること

KSECがルールにより定めるその他の要件を遵守すること

証券法4A条(b)発行会社の要件

@以下の情報を、SECに提出し、投資家及びブローカー又はファンディング・ポータルに提供し、潜在的投資家が入手可能とすること

A)発行会社の名称、法的地位、住所及びウェブサイト
B)取締役・役員・20%超保有株主の名称
C)事業の内容及び事業計画
D)財務状態(目標募集金額に応じて、以下の内容を含む。)

  • 10万ドル以下の場合は、直近の所得税申告書及びCEOによる証明付きの財務書類
  • 10万ドル超50万ドル以下の場合は、独立の公認会計士がレビューした財務書類
  • 50万ドル(又はSECがルールにより定める金額)超の場合は、監査済み財務書類
E)発行目的及び目標募集金額に関する予定資金使途
F)目標募集金額、最終募集期限及び募集進捗状況の定期的更新

G)公募価格又はその決定方法(ただし、売却前に、各投資家に対して、最終価格及び必要なすべての開示内容を書面で提供し、またコメットメントを撤回する合理的な機会を提供するものとする。)

H)所有者の状況及び資本構成(以下の内容を含む。)
  • オファーされている証券及びそれ以外の発行会社の各種類の証券の要項
  • 主要株主の有する権利の行使によって、証券の購入者がいかにネガティブな影響を受けるかの説明
  • 各種類について20%超を所有する株主の氏名及び所得水準
  • オファーされている証券の具体的な評価方法及び書類の評価方法の例
  • 少数持分に係る証券の購入者のリスク及び増資、M&A、関連当事者取引等の会社の行為に伴うリスク

I)SECがルールにより定めるその他の情報

A募集の条件について広告(但し、投資者をファンディング・ポータル又はブローカーに誘導する通知を除く。)を行わないこと

Bブローカー又はファンディング・ポータルが提供するコミュニケーション・チャンネルを通じて募集を支援する者に対し、その者が対価の受領について明確に開示することを確保するためにSECがルールにより定める措置を取らずに、対価を支払うこと

C少なくとも年1回、SECがルールにより定めるところにより、経営成績に関わる報告書及び財務書類を、SECに提出し、投資者に提供すること

DSECがルールにより定めるその他の要件を遵守すること

今後の規制の方向性についての考察(筆者個人の推測です)
  これらの検討内容から、資本調達型の規制は以下のような方向性が考えられるのではないでしょうか。
  • クラウドファンディングは、寄付型と金銭的リターンを伴う資本調達型で規制が異なる。
  • 資本調達型を扱える業者は、第二種金融商品取引業者等、一定の業者に限られる。
  • 調達した資本を有価証券に再投資することは禁止、又はその場合は投資運用業の登録が必要
  • 純資産要件として5,000万円程度求められる(?)
  • 重要事項の説明等、金融商品販売法に準じた規制がかかる。
  • 総量規制を参考に、年収や純資産に応じた投資上限額が設定される。
  • 金融商品取引法の関係から、1案件当たりの調達上限額は1億円未満に限定される。
  • 発行会社及びファンディング・ポータル運営会社に関する情報開示が求められる。
  • グリーンシートとのバランスから、調達額に応じて、公認会計士又は監査法人による監査又はレビューが求められる。
今後の業界の方向性についての考察(〃)
  • 寄付型しか扱えないサイトと、資本調達型まで扱えるサイトを比べれば、当然後者のほうが魅力があるので、業界の流れとしては、資本調達型に参入することは必須になる。
  • アメリカでは、100万ドルという制限からコスト倒れになってしまうケースや、日本でもグリーンシートでの調達がコスト倒れになるケースが多く、資本調達型の利用が一気に進むことは想定しづらい。従って、資本調達型に特化して一から仕組みを立ち上げることは、リスクが高い。
  • 資本調達型を扱い得るのは、採算面から、既に寄付型でファンディング・ポータルを運営していること、また規制面から、金融商品の販売に関する許認可及び実務経験を有していることが求められる。
  • 現状、上記の要件を両方満たす会社は無く、参入のハードルは非常に高くなる。
  • 既存の寄付型のファンディング・ポータルの運営会社が、証券会社にシステムやノウハウを提供し、証券会社の名義で資本調達型を行うのが現実的ではないか。
    この場合には、規制が相当厳しくなっても容易にクリアーでき、また証券会社としても、低リスクで新規参入できるのではないか。


(2013.6.6)

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