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利息制限法と出資法〜グレーゾーン金利の撤廃〜

 平成18年12月に貸金業法が改正されましたが、社会的に問題になっているグレーゾーン金利の概要から、利息制限法及び出資法の内容を踏まえて、改正された貸金業法の内容を見ていきます。

1.グレーゾーン金利の概要
 金銭消費貸借における利息については、利息制限法によって上限が15%〜20%に定められており、これを超える契約は原則としてその超過部分について無効になります。
 しかし、利息制限法を超える利息を徴収しても契約が無効になるだけであり、罰則がないうえ、一定の要件を満たす場合にはこの上限を超える利息の支払いも有効とみなされます(これを『みなし弁済規定』といいます。)。
 他方で、出資法では29.2%といった一定の上限金利が定められており、出資法の定めに反する契約は処罰の対象となります。そのため、巷の消費者金融などでは、出資法の範囲内で利息を徴収し、利息制限法を超える部分についてはみなし弁済規定を用いて利息を徴収しているのが実情です。
 もちろん法に則った契約であれば何も問題はありませんが、社会的に問題になっているようなケースでは、みなし弁済規定の要件を満たしていないケースが多いようです。
 二つの法律が存在し、みなし弁済という例外規定の有効性が曖昧なケースが多いため、利息制限法の上限を超え、かつ出資法の範囲内の金利のことを“グレーゾーン金利”と呼んでいます。

2.利息制限法
 ①利息の制限


 金銭消費貸借における利率は、元本の金額に応じて利率の上限が決められており、これを超える利息の契約はその超過部分について無効になります。

 ②賠償予定額の制限


 債務不履行の際には一定のペナルティを加重した金額を賠償請求するのが通常ですが、その賠償額の元本に対する割合については、上記の利率の1.46倍が上限となります。この割合を超える賠償は、その超過部分について無効になります。

 ③みなし弁済規定
 利息制限法の定めを超える金利は無効ですが、一定の要件を満たし、債務者が利息として任意に支払った場合には有効とされます。
 ここで、一定の要件としては、以下の点が求められます。
  1. 債権者が貸金業者として登録していること
  2. 債務者が利息の支払であると認識して支払ったこと
  3. 債務者が利息として任意に支払ったこと
  4. 一定の書面を交付していること

3.出資法
 ①概要
  正式名称を「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」といいます。
  不特定多数の者から出資を受ける際に元本又は配当の保証を行うことを禁止するほか、業として金員を預かることの禁止、金銭貸借の媒介を行う際の媒介手数料の上限(5%)を定めるほか、金銭を貸し付ける際の金利の上限も定めています。

 ②上限金利
  出資法における利息の上限は109.5%(日歩30銭(100円借りると毎日30銭の利息を支払う))とされ、業として金銭の貸し付けを行う場合には29.2%とされています。

 ③刑事罰
  上記を超える利息の要求をしたときは、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、又はこれらの併科(法人の場合は3,000万円以下の罰金)となります。
  ここでは、実際に利息を徴収した場合ではなく、そのような要求をしただけで刑事罰の対象となります。

4.貸金業法の改正
 強引な取り立てによる自殺などが社会問題となり、多重債務問題の解決に向け、平成18年12月に貸金業の規制等に関する法律及び出資法が改正されました(改正により貸金業の規制等に関する法律は貸金業法に改名)。
 グレーゾーン金利の撤廃や罰則の強化などが規定されていますが、主な内容は以下の通りです。

 ①スケジュール


 平成18年12月に罰則が厳しくなり、平成19年12月には貸金業法に基づき自主規制機関として日本貸金業協会が設立されました。
 そして今後、平成20年5月までには貸金業取扱主任者の資格試験の実施、財産的基礎要件の2,000万円への引き上げ、指定信用情報機関制度の導入、総量規制が実施されるほか、平成21年5月までには貸金業取扱主任者の設置義務化、財産的基礎要件の5,000万円への引き上げ、上限金利の引き下げ(グレーゾーン金利の撤廃)等が予定されています。

 ②指定信用情報機関
 一定の体制を整備している信用情報機関を指定信用情報機関とし、個人向けの貸し付けを行った際には当該情報機関に登録するほか、貸し付けを行う際には、他の借入状況を照会することとされます。
 ここで一定の体制としては、以下の点が求められます。
  1. 純資産額5億円以上
  2. 加入貸金業者数が100社以上
  3. 保有する個人信用情報に係る貸付残高が5兆円以上

 ③総量規制
 1社で50万円又は総額で100万円を超える貸し付けを行う際には年収を確認できる資料を徴求し、それに満たない場合においても年収等に基づいた返済能力を調査し、原則として貸付総額が年収の3分の1以下になることとされます。

 ④グレーゾーン金利の撤廃
 平成22年5月を目処にグレーゾーン金利を撤廃し、出資法の上限金利を利息制限法の上限金利(20%)まで引き下げることとされます。

 ⑤その他
 自殺による保険金を返済原資とする保険契約を締結することの原則禁止、保証料を利息と合算して規制、日賦貸金業者及び電話担保金融の特例(年利最高54.75%)の廃止、罰則の強化(出資法の上限金利を超える貸付は5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこれらの併科(法人の場合は3,000万円以下の罰金)、無登録営業の場合10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金又はこれらの併科(法人の場合は1億円以下の罰金))等が定められました(平成18年12月施行)。

(2008.4.14)

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