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所有権移転外リース取引について賃貸借処理した場合の消費税
所有権移転外ファイナンスリース取引についての消費税額の計算は、リース資産の引渡しを受けた日の課税期間において、リース料総額に対する消費税を一括控除することが原則とされています。 また、一定の場合には会計基準等で賃貸借処理が許容されていることもあり、国税庁の質疑応答事例において、会計基準等に基づいて賃借人が賃貸借処理をしている場合には、リース料の支払いに応じて分割控除を行っても差し支えない旨の見解が示されています。 なお、賃貸借処理を行う場合には、必ずしも分割控除をする必要はなく、原則通り一括控除を行うことも可能です。 コピー機その他のリース資産で汎用性の高いものは、ほとんどが所有権移転外ファイナンスリース取引契約となっておりますので、賃貸借処理を行う場合には、会社の状況に応じて控除方法を選択したいものです。
1.一括控除による節税効果 消費税の計算は原則として売上に係る消費税の入金額(仮受消費税)から、仕入・経費に係る消費税の出金額(仮払消費税)を控除して、差額を納付する計算構造となっています。 一括控除の場合には、リース期間のリース料総額に係る仮払消費税をリース資産の引渡し事業年度で全額控除可能で、翌期以降の未払リース料に係る消費税を前取りして控除することにより、引渡し年度の節税効果が得られます。 ≪具体例≫ リース資産引渡し日: 平成××年4月1日(会社決算日:毎年3月末日) リース期間: 5年 リース料(税抜き): 100,000円/月 1,200,000円/年 6,000,000円/5年 会社全体の売上に係る仮受消費税: 500,000円
引渡し年度の消費税の計算
上記具体例によれば、一括控除は分割控除に比べて、引渡し年度の消費税納税額が240,000円少なくなりますので、2年度以降の未払いリース料に係る消費税の前取りにより、節税効果が得られます。 なお、引渡し年度でリース料総額の消費税を前取りで控除しているため、2年度以降に支払うリース料については控除の対象になりませんので、原則としてトータルでは一括控除・分割控除の控除額は同額となります。 2.仕訳例 上記の具体例を前提とすれば、賃貸借処理した場合の仕訳例は下記のとおりです。 ※リース料支払時の仕訳は年間リース料を記載(単位:万円) ≪一括控除の仕訳例≫
≪分割控除の仕訳例≫
3.簡易課税(免税)事業者 消費税の計算方法として簡易課税計算を行っている場合、或いは、免税事業者の場合には、どのような方法を採用すれば良いでしょうか。 簡易課税事業者の消費税の計算は、売上に係る消費税入金額である仮受消費税のみで計算を行うため、リース料に係る仮払消費税は計算に影響しません。 また、免税事業者の場合には、そもそも消費税計算を行わないため、やはりリース料に係る仮払消費税は影響しません。 しかし、2年度以降に原則計算を行う事業者の場合にはどうでしょうか。 引渡し年度で一括控除を採用してしまうと賃貸借処理を採用していても、2年度以降は控除の対象となりませんが、分割控除を採用すれば2年度以降のリース料に係る消費税は控除の対象とすることが出来るのです。
注意が必要なのは、分割控除は会計基準に従って賃貸借処理を採用している事業者の経理の簡便性を考慮して認められたものとなります。つまり、計算方法を一括控除に限定してしまうと、賃貸借処理を行っていても、2.仕訳例≪一括控除の仕訳例≫のような煩雑な会計処理を行う必要があり、処理を誤らせてしまうことを防止するためでもあります。 従って、従前から原則計算事業者が一括控除を採用している場合において、たまたま簡易課税(免税)事業者となった年度に引渡しを受けたリース資産に分割控除を採用し、その後、原則計算事業者となった年度の支払リース料に係る消費税について分割控除を受け、合わせ引渡しを受けるリース資産に一括控除を採用することで納税額は減少しますが、課税当局の想定を超えた行為と言えるでしょう。 なお、会計基準に従い、結果的に異なる会計処理を行った場合には、このような処理も認められるものと考えます。 控除方法の選択は、納税額に影響し、事業者の資金繰りにも影響しますから、これから設備投資を購入からリースに切替えを検討している事業者や、設立法人などについては、慎重に検討されることをお奨めいたします。 (2009.8.6) |
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