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自己株式を取得した場合の取締役の填補責任

 自己株式の取得は分配可能額の範囲内でのみ可能ですが、仮に分配可能額の範囲内で自己株式を取得した場合においても、取締役の填補責任が問われるケースがあります。

 自己株式の取得は分配可能額の範囲内でのみ可能とされ(会社法461条)、これに反して自己株式を取得した場合には、蛸配当の場合と同じく、当該行為に関する職務を行った業務執行者(取締役、執行役)は、会社に対して連帯して、交付した金銭等の帳簿価額に相当する金銭全額の支払い義務を負います(462条)。
461条 1項本文 次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
  1項1号〜7号 (自己株式を取得するケースを規定)
462条 1項本文 前条第一項の規定に違反して株式会社が同項各号に掲げる行為をした場合(=分配可能額を超えて自己株式を取得した場合)には、当該行為により金銭等の交付を受けた者(=自己株式の譲渡者)並びに当該行為に関する職務を行った業務執行者(=取締役、執行役)〜中略〜は、当該株式会社に対し、連帯して、当該金銭等の交付を受けた者が交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う。

 これらの条文からすれば、自己株式の取得時に分配可能額の範囲内で取得を行えば問題ないように思われますが、会社法465条において、たとえ分配可能額規制を守っていたとしても、期末に欠損が生じた場合には、当該行為に携わった業務執行者は、会社に対して連帯して填補責任を負う旨が定められています。
465条 1項本文 株式会社が次の各号に掲げる行為をした場合において、当該行為をした日の属する事業年度〜中略〜に係る計算書類につき第438条第二項の承認(=定時株主総会における決算承認)を受けた時における第461条第2項第3号〜中略〜に掲げる額(=取得した自己株式の帳簿価額)の合計額が同項第1号に掲げる額(=剰余金の額)を超えるときは、当該各号に掲げる行為に関する職務を行った業務執行者は、当該株式会社に対し、連帯して、その超過額〜中略〜を支払う義務を負う。
  1項但書 ただし、当該業務執行者がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りではない。
  1項各号 (自己株式を取得するケースを規定)
  2項 前項の義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。





 465条は、分配可能額規制の趣旨を徹底するための規定であり、過失責任であることから、当該職務執行者が、職務を行うことについて注意を怠らなかったことを証明するか、総株主の同意を得なければ、この義務を逃れません。

(2010.3.1)

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