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書面添付制度
納税者を守る書面添付制度

 書面添付制度とは、法人税・消費税・所得税・相続税等の申告書に添付することができる申告書の説明書です。
 この制度は平成13年の税理士法改正により導入されたものですが、申告書への添付は任意とされているため、まだまだ実践割合は低くなっております。

 しかし、『税務調査の省略がある場合』や『銀行における金利優遇の融資商品の登場』もあり、納税者にとっても利益のある制度となっています。

1.制度の概要

 書面添付制度は大別して次の2つからなります。
  ① 申告書への説明書の添付(書面添付)
  ② 税務調査前の税理士の意見陳述(意見聴取)


2.書面添付

 税理士は申告書の提出にあたり、その申告書の作成に関して、計算・整理・相談に応じた事項を記載した書面を添付することが出来ます。
 これは、決算書の各勘定科目について、取引状況及び伝票・領収書・契約書等により確認を行ったこと、納税者の相談に応じた事項で論点となりそうなものついて記載する書面です。

 税理士の立場からすれば、納税者の取引の流れ・経理状況等を良く把握・理解していないと作成出来ない書面となります。
 それゆえに、国税当局にとっても信頼できる有用な書面となり、納税者に利益のある税務調査の省略に繋がる書面となるのです。


3.意見聴取

 国税当局は提出された申告書に疑問が生じても、書面添付のある申告書を提出した納税者に対して原則として直ちに調査を行うことは出来ず、税理士に意見を述べる機会を与える必要があります。
 この意見聴取にて疑問点が解消されれば、やはり税務調査の省略に繋がることになることになるでしょうし、国税当局との対応も全て税理士が行うため、納税者の負担はありません。


4.意見聴取結果の連絡

 意見聴取により国税当局に調査不要と認められた場合には、『現時点では調査に移行しない』旨が記載された書面が発行されます。この書面が発行されたならば納税者も安心でしょう。
 ただし、調査不要と認められた場合においても、①今後の申告や帳簿の整備状況において指導等を受けた場合、②書面の記載に不備があった場合には、書面が発行されず、税理士への電話連絡のみとなります。

 また、疑問解消に至らず調査が行われる場合でも、税理士によってワンクッション置かれているため、納税者としても落ち着いて税務調査に対応することが出来るはずです。


5.加算税の免除

 加算税とは、当初の申告が過小であった場合の追加税額に加算される罰金です。
 通常、国税当局の指導により修正申告を行った場合、あるいは国税当局からの更正処分があった場合には、追加税額に加算されて納税することになります。意見聴取後に修正申告書を提出しても、原則として加算税は賦課されません。
 なお、意見聴取において個別・具体的な非違事項の指摘が行われ、これに基づき修正申告書を提出した場合には、加算税が賦課されることになります。


6.金利優遇

 TKC等の企業・団体と提携している銀行が中心となりますが、書面添付実践企業に対して金利優遇の融資商品が提供されております。
 これは添付書面のある申告書・決算書は税理士が責任をもって作成しているため、決算数値に信憑性があり、金融機関の信頼性が高い証しといえます。


7.実践割合

 法人税申告の書面添付の年度別実践割合は下記表のとおり低迷しておりますが、国税当局と税理士会との協議により、ここにきて国税当局も税務行政の円滑化という制度趣旨を尊重し、積極的に活用してくれるようになりました。

 なにより納税者にとってメリットの大きい制度ですから、当事務所としても積極的に活用して行きたいと思います。


  税理士関与先の法人税申告書の書面添付割合(単位:%)
会計年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
書面添付割合 4.6 4.9 5.4 5.7 6.0

(2009.11.16)

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