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復興特別税
復興特別税について

  東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(以下、「法」という。)が、平成23年12月2日に施行され、法人税については平成24年4月1日以後開始事業年度から3年間、所得税については平成25年1月1日から平成49年12月31日までの期間について、復興特別法人税及び所得税が課されます。
  今回は、これらの復興特別税についてまとめてみたいと思います。

1、復興特別法人税
(1)概要
  復興特別法人税は、平成24年4月1日から平成27年3月31日まで(以下、「指定期間」という。)の期間内に最初に開始する事業年度開始の日から、3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度(以下、「課税事業年度」という。)において、基準法人税額に10%の税率で課されます。(法第45条、同48条)
基準法人税額 法人税法の規定により計算した法人税額(特定同族会社の留保金課税、所得税額控除、外国税額控除等の税額控除等一定のものを適用しないで計算した金額で、附帯税の額を除きます。)(法第44条)
※これを法人税申告書別表一でみると、下記の計算式により計算できます。
別表一(一)「2」欄−別表一(一)「3」欄+別表一(一)「5」欄
(2)対象期間の特例

  指定期間内に事業年度変更等を行ったことにより、該当期間が36月を超えてしまうような場合には、最後の事業年度において、最初に課税された事業年度開始の日から36月の期間が対象となるよう、課税標準の特例計算が定められています。(法第47条第2項1号)

  また、指定期間内に設立した法人についても、指定期間内の日の属する事業年度が対象期間となりますが、その最終事業年度が指定期間末日を超える場合には、その指定期間末日までの期間が対象となります。(法第45条第2項第1号、同47条第2項第2号)

  対象期間を図に示すと、下記のようになります。

@3月決算法人

3月決算法人

A12月決算法人であったが、9月決算法人へ変更

12月決算法人であったが、9月決算法人へ変更

B平成25年2月1日設立、6月決算法人

平成25年2月1日設立、6月決算法人

(3)還付申告

  法人税法第68条に規定する所得税額控除と同様に、復興特別所得税を課されている場合、その金額は復興特別法人税の額から控除することができます。ただし、復興特別所得税を通常の法人税の額から控除することはできませんので、復興特別所得税の額が復興特別法人税の額より大きいときは、その超過額の還付を受けることとなります。(法第49条)

  従って、指定期間より前に開始した事業年度であって、復興特別法人税が課されない期間であっても、平成25年1月1日以後の期間で復興特別所得税が課されている場合には、この還付を受けるため、復興特別法人税の申告書を提出する必要がありますので、注意してください。(法第54条)

(4)清算所得に対する法人税を課される法人について

  平成22年9月30日以前に解散を行った内国法人等で、清算所得に対する法人税を課されるものについては、基準法人税額が無いこととなりますので、復興特別法人税の額は発生しません。

  ただ、平成25年1月1日以後の期間において復興特別所得税が課されている場合には、この復興特別所得税額を、清算所得に対する法人税額から控除すべき所得税額とみなす規定が置かれているため、平成22年9月30日以前に解散を行った法人については、復興特別法人税申告書ではなく、通常の清算確定申告書若しくは、清算事業年度予納申告書により、通常の所得税と併せて手続きを行うこととなります。(附則第29条の2)

2、復興特別所得税
(1)概要
  復興特別所得税については、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの期間につき、基準所得税額に2.1%の税率で課税されます。(法第9条、第13条、第27条)
基準所得税額
区分 対象所得
居住者 非永住者以外 全ての所得(外国税額控除を適用しないで計算した金額)
非永住者 国内源泉所得及び、国外源泉所得のうち国内において支払われ、又は国外から送金されたもの
非居住者 所得税法第164条に定める区分に応じ、それぞれに定める国内源泉所得
内国法人 所得税法第174条に定める利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配及び賞金で、国内において支払われるもの、その他一定のもの
外国法人 所得税法第161条第1号の2から第7号まで、及び第9号から第12号までに掲げるもの(国内に恒久的施設を有しない外国法人については、第1号の2に掲げるものを除く。)
(2)確定申告

  個人の方で確定申告を行う必要がある場合には、平成25年度分申告より、復興特別所得税の申告も併せて行う必要があります。また、対象年度の予定納税については、通常の所得税と復興特別所得税を合計した予定納税基準額が15万円以上であるかどうかにより判断することとなりますので、ご留意ください。(法第16条)

(3)源泉徴収

  対象期間において、所得税法に定められている各種源泉徴収を行う場合には、その基準所得税額に2.1%の税率を乗じた金額を源泉徴収義務者が徴収し、法定納期限までに納付する必要があります。(法第28条)

  ただし、給与等に係る源泉徴収については、所得税法別表第2から4までに定める金額及び、別途財務大臣が定める表により計算した金額により源泉徴収することができますので、これらの公表資料をご活用ください。(法第29条)

3、まとめ
  復興特別法人税、所得税ともに、通常の法人税・所得税申告書とは別に、それぞれの明細を記載した申告書の提出を要し、また、源泉徴収された所得税については、所得税と復興特別所得税とを区分して計算しなければならないなど、少々煩雑な点が多いため、実際に申告を行う際には早めに作成を行い十分なチェックを行うなど、余裕をもった対応が必要となると考えます。

(2012.4.23)

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