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ゴルフ会員権
ゴルフ会員権をめぐる税務

 ゴルフ会員権とは、会員制度を採っているゴルフ場を、一般客よりも 優先的に使用する権利の事を言い、主に預託金方式(優先的施設利用権と預託金返還請求権を主たる内容とする債権的法律関係により成立している会員権)と株式方式(ゴルフ場経営会社の株主になることによって優先的施設利用権が付与される会員権)の2種類があります。

 会員権の購入は、販売業者等を通じて簡単に行うことができますが、「会員権購入」と「入会」は別であり、購入すれば直ちにプレーができるということにはなりません。入会にあたって審査がある場合もあり、他者から購入した会員権の名義書換料や、入会金、年会費等を支払ってはじめて実際に利用できることになります。

 ゴルフ会員権に係る支出や、保有している場合の評価、譲渡した場合など、ゴルフ会員権をめぐる税務上の取り扱いについて以下にまとめました。

 1、法人が支出したゴルフクラブの入会金及び会費等の取扱い

(法基通9−7−11〜13)


(1) 入会金、名義書換料
  法人会員として入会する場合
   資産に計上します。ただし、記名式の法人会員で名義人である特定の役員等が専ら法人の業務に関係なく利用する場合は、これらの人が負担すべきものとしこれらの人に対する給与となります。
  個人会員として入会する場合
   個人会員である特定の役員等に対する給与となります。ただし、無記名式の法人会員制度がないために個人会員として入会し、その入会金を法人が資産に計上した場合で、その入会が法人の業務の遂行上必要であるため法人が負担すべきものであると認められるときは、その処理が認められます。
  資産計上した入会金の処理
   法人が資産に計上した入会金は償却は認められませんが、ゴルフクラブを脱退したり会員権を譲渡した場合の損失に相当する金額は、その脱退又は譲渡した事業年度の損金に算入するものとします。

(2) 会費等
   ゴルフクラブの年会費、年決めのロッカー代などの費用については、その入会金が資産に計上されている場合には交際費となり、給与とされている場合には会員である特定の役員又は使用人に対する給与となります。


 2、会員権を譲渡した場合

法人会員の場合
   預託金方式、株式方式のいずれも譲渡による利益は益金、損失は損金になります。
個人会員の場合
   預託金方式、株式方式ともに、譲渡による所得は原則として総合課税の譲渡所得に該当し、所有期間により短期と長期に区分されます。
 損失が発生した場合は、原則として他の所得と通算できます。ただし、ゴルフ場が閉鎖されプレー不能の場合は、単に預託金返還請求権だけの金銭債権の譲渡になるため、譲渡所得には該当せず、損失が生じたとしても他の所得との損益通算はできないことになっています。


 3、ゴルフ場が破綻した場合

(1) 預託金方式の会員権の貸倒引当金計上
  法人会員の場合
   プレー可能の場合は、預託金返還請求権の全部又は一部が顕在化しておらず、単なる金銭債権とはならないため、貸倒引当金、貸倒損失等の損失計上をすることはできません。プレー不能の場合は、金銭債権とされるため、貸倒引当金の個別評価による繰入の形式基準を満たす場合、貸倒引当金として計上可能です。
 また、法的手続きの中で預託金債権の一部が切捨てられた場合、貸倒損失の計上基準を満たせば貸倒損失を計上することができます。(法基通9-7-12)
  個人会員の場合
   ゴルフ会員権に事業関連性は認められないため、金銭債権として貸倒引当金や貸倒損失を計上することはできず、また雑損控除もできません。
 ただし、法的手続きを経た後従来どおり優先的施設利用権を行使できる場合で、譲渡を行った場合には、譲渡所得として損益通算できることとなります。

(2) 株式方式のゴルフ会員権の評価
  法人会員の場合
   株式方式のゴルフ会員権の相場の下落は、有価証券の評価損の規定を適用するため、価格が取得時の2分の1以下に下落しているなど一定の条件に該当する場合、法人税法上評価損の計上ができます。
  個人会員の場合
   所得税法上は、事業関連性が認められないため、相場の下落による評価損の計上はできません。


 4、相続が発生した場合のゴルフ会員権の評価

 相続が発生した場合は、取引相場の有無に区分し、それぞれ以下の方法により評価します。

(1) 取引相場のある会員権
  通常の取引価格×70%
  取引価格に含まれない預託金等がある場合は以下Aの金額を加算する。
 

直ちに返還を受けることができる預託金等の金額+一定期間後に返還を受けることができる預託金等の金額の基準年利率による複利原価の額

(2) 取引相場のない会員権
  株式方式・・・株式の評価方法に基づいて評価する。
  預託金方式・・・上記(1)②の計算により評価する。
  株主会員であり、かつ預託金等を預託しなければ会員となれない会員権
    ・・・株式と預託金に区分し、上記(1)①と②に基づく評価の合計額で評価する。


 5、まとめ

 バブル崩壊後の長引く不況により、多くのゴルフ場が多額の預託金返還問題等を抱え破綻状態にあります。
 ゴルフ場が倒産した場合、会社更生や民事再生の手続きなどにより再建を図るか、又は破産手続きによりゴルフ場を閉鎖するか、その後の手続きの違いにより税務上の取り扱いも異なってきます。

 ゴルフ会員権の取得、保有及び譲渡にあたってはゴルフ場の経営状態を見極め、早期に対策を図ることが重要になってきます。

(2012.3.16)

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