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源泉所得税
「給与・報酬にかかる源泉所得税の納付及び平成23年度の留意点について」

 法人及び個人事業主の皆様にとって身近な税金の一つである、給与・報酬にかかる源泉所得税の納付及び平成23年度の源泉所得税に関する留意点について、まとめてみたいと思います。

【1】源泉所得税の納付について

(1)原則

 給与・報酬などの源泉徴収の対象となる所得を支払う者(以下、「源泉徴収義務者」といいます。)がその給与・報酬等につき源泉徴収をした所得税は、原則としてその源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日までに国に納付しなければならないものとされています。

(2)特例

概要
  給与の支給人員が常時10名未満である源泉徴収義務者については、給与や退職手当等、税理士、弁護士などに支払う一定の報酬にかかる源泉所得税について、毎月ではなく、年2回にまとめて納付することができる制度があります。

内容
  その年の1月〜6月に支払った給与・報酬等につき源泉徴収した所得税についてはその年の7月10日、7月〜12月までに支払った給与・報酬等につき源泉徴収した所得税については、翌年1月10日が納付期限となります。
なお、ホステスやデザインなどの報酬、及び配当等の所得にかかる源泉所得税についてはこの年2回の特例の納付の対象とはならず、原則通り毎月納付することとなります。

適用要件
  「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を、納税地を所轄する税務署長に提出して、承認を受けることが必要です。

適用時期
  税務署長から「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を却下する旨の通知があった場合を除き、この申請書を提出した月の翌月末日に承認を受けたものとみなされます。
この承認を受けた月に支払った給与、報酬等にかかる源泉所得税から、年2回の納付の特例が適用されます。

例えば、その年の4月中にこの申請書を提出した場合、5月中に支払った給与、報酬等にかかる源泉所得税から適用されます。

つまり、その年の1月〜4月に支払った給与、報酬等にかかる源泉所得税については原則通り2/10〜5/10に毎月納付、5月〜6月に支払った給与・報酬等にかかる源泉所得税については、7/10が納期限、7月〜12月に支払う給与・報酬等にかかる源泉所得税については翌年1/10が納期限、ということになります。

(3)特例の特例

 上記(2)の特例の適用を受けている源泉徴収義務者が、その年の12月20日までに「納期の特例適用者にかかる納期限の特例に関する届出書」を納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、その年の7月〜12月に支払った給与、報酬等にかかる源泉所得税の納期限が10日間延長され、1月20日となります。
 なお、延長されるのは下半期の源泉所得税にかかる納期限(1月)のみで、上半期の源泉所得税にかかる納期限については延長がなく、通常通り7月10日となります。

(4)適用除外

 (3)の適用を受けている源泉徴収義務者が、以下のいずれかに該当する場合には、その年の下半期にかかる源泉所得税の納期限については1月20日ではなく、1月10日が納期限となります。
  • その年の12月31日現在において源泉所得税を滞納していること
  • その年の下半期にかかる源泉所得税をその年の翌年1月20日までに納付しなかったこと

(5)納付税額がない場合

 給与、報酬等の支払をする源泉徴収義務者は、納付する源泉所得税額がない場合であっても、「所得税徴収高計算書」(源泉所得税の納付書)に0円と記載して、その納期限までに納税地の所轄税務署長に提出しなければならないものとされています。

【2】平成23年度の留意点

(1)給与にかかる源泉所得税について

扶養控除の見直し
  平成23年1月1日以後に支払うべき給与等について、扶養控除の見直しが行われ、年齢16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止され、扶養控除の額がゼロとなりました。
また、年齢16歳以上19歳未満の扶養親族の扶養控除の上乗せ部分(25万円)が廃止され、扶養控除は38万円のみとされました。
なお、年齢19歳以上23歳未満の扶養親族についてのみ、特定扶養親族として、扶養控除の額が63万円(38万円+25万円)となります。

所得者に控除対象配偶者及び年齢16歳未満の扶養親族がいる場合、源泉所得税の徴収額を確認する際の源泉徴収税額表において、平成22年までは扶養親族等の数は2人ですが、平成23年以降は1人となるため、給与から天引きされる源泉所得税が増加することになります。
社会保険料等控除後の給与の金額が25万円とすると、源泉所得税の天引き額が1,590円増加します。

同居特別障害者加算の特例措置の変更
  平成23年1月1日以後に支払うべき給与等について、上記@の扶養控除の見直しに伴い、同居特別障害者に対する障害者控除の額を1人あたり75万円(特別障害者に該当する場合の障害者控除額40万円+35万円)とすることとされました。

所得者に控除対象配偶者及び年齢16歳未満の同居特別障害者が1人いる場合、源泉所得税の徴収額を確認する際の源泉徴収税額表において、平成22年までは扶養親族等の数は3人(控除対象配偶者1人+16歳未満の扶養親族1人+同居特別障害者1人)と数えましたが、平成23年以降は、2人(控除対象配偶者1人+同居特別障害者1人)ということになります。
社会保険料等控除後の給与の金額が25万円とすると、源泉所得税の天引き額が1,580円増加することとなります。

(2)災害に関する源泉所得税の取扱い

災害見舞金を支給した場合
  被災した従業員や役員に対し、資産の損害の状況に応じて見舞金を支給した場合、その会社が一定の基準により見舞金の額を定めている場合には、相当の見舞金に該当し、所得税は課されないこととなります。(所法9①十七、所令30三)
また、従業員や役員の親族の資産が災害により被害を受けた場合に、その従業員や役員に支給する見舞金についても、一定の基準を設けて支給し、その見舞金が社会通念上相当である場合には、所得税は課されないこととなります。
よって、給与として所得税を源泉徴収する必要はないこととなります。

災害などにより他の交通手段による交通費を支給した場合
  通常、給与所得者が出張をする場合等に必要な経費に充てるために支給される金額については、所得税が非課税とされています。(所法9①四)
通勤に通常利用している交通手段が災害などにより利用できず、他の交通手段により通勤した場合の実費の交通費については、その交通手段が合理的なものであれば、その交通費については旅費に準じて非課税と考えられるため、給与として所得税を源泉徴収する必要はないこととされます。

(2011.6.13)

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