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滞納処分
滞納処分における私債権との調整、権利保護について

  国税の滞納処分に当たっての私債権との調整、及び滞納者や第三者の権利の保護についてまとめています。

【1】国税の優先に関する制限

(1)概要

  国税債権の徴収に際しては、原則として、すべての公課、私的な債権に対して優先権がありますが、一定の制限を設けて、私債権の回収手続きとの調和を図っています。

(2)国税に優先する費用等

@強制換価手続等の費用等の優先(徴9、10、11)
  滞納処分、強制執行、担保権の実行としての競売等にかかった費用、及び直接の滞納処分費、並びに強制換価の場合の消費税等については、常に国税に優先します。

A不動産保存の先取特権等の優先(徴19、21、59B、71C)

  納税者の財産上に、不動産保存などの先取特権、留置権、特別の前払借賃がある場合には、常に国税に優先します。

B法定納期限等以前に設定された質権等の優先(徴15、16、17、20、23)

  法定納期限等以前又は財産の譲受前に設定された質権、抵当権、不動産賃貸などの先取特権、担保のための仮登記で担保される債権がある場合には、国税に優先します。
【2】滞納者の権利保護

(1)超過差押えの禁止(徴48@)

  国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押さえることができないこととされています。

(2)無益な差押えの禁止(徴48A)

  差し押さえることができる財産の価額が、その滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ国税、地方税、その他の私債権の金額の合計額を超えないと見込まれるときは、その財産は差し押さえることができません。

(3)差押禁止財産(徴75〜78)

  一般的差押禁止財産、給与等の差押え禁止額、条件付差押禁止財産等、一定のものについて、差押えることが禁止されている財産があります。

(4)差押財産の使用又は収益

@動産(徴61@)
  国税の徴収職員は、差し押さえた動産を滞納者に保管させる場合について、国税を徴収する上で支障がないと認めるときは、その使用又は収益を許可することができます。

A不動産(徴69@)

  滞納者は、差押不動産につき、通常の用法に従って、使用又は収益をすることができます。なお、不動産の価値が著しく減耗する行為がされると認められるときに限り、税務署長が、その使用又は収益を制限することができます。

B船舶、航空機(徴70D)

  税務署長が、停泊中の船舶若しくは航空機を差し押さえた場合、又は、滞納処分のために必要があるため、船舶若しくは航空機を一時停泊させた場合において、営業上の必要等の相当な理由がある場合には、滞納者等、一定の者の申立てにより、航行を許可することができます。

C自動車、建設機械、小型船舶(徴71E)

  税務署長は、自動車、建設機械、小型船舶を差し押さえた場合において、その財産を徴収職員に占有させ、又はその財産を占有する第三者に保管させたときにおいて、営業上の必要等の理由がある場合には、滞納者等、一定の者の申立てにより、その運行、使用又は航行を許可することができます。
【3】 第三者の権利の保護

(1)差押財産の選択の際の第三者の権利の尊重(徴49)

  徴収職員は、滞納者の財産を差し押さえる場合には、滞納処分の執行に支障がない限り、その財産について第三者が有する権利を害さないように努めなければならないこととされています。

(2)第三者の権利の目的となっている財産の差押換(徴50)

  質権、抵当権等の第三者の権利の目的となっている滞納者の財産が差押えられた場合には、その第三者は、税務署長に対し、滞納者が他に換価が容易で第三者の権利の目的となっていない財産を有し、かつ、その財産により滞納国税の全額を徴収することができる場合には、その差押換を請求することができます。

(3)相続があった場合の差押(徴51)

@原則
  徴収職員は、被相続人の国税につき、その相続人の財産を差し押さえるときは、滞納処分の執行に支障がない限りは、まず相続財産を差し押さえるように努めなければならないこととされています。

A差押換の請求

  被相続人の滞納国税につき、その相続人の固有の財産が差押えられた場合には、その相続人は、他に換価が容易で第三者の権利の目的となっていない財産を有しており、かつ、その財産により被相続人の滞納国税の全額を徴収することができる場合には、その差押換を請求することができます。

(4)第三者が占有する動産、有価証券の差押(徴58)

  滞納者の動産、有価証券について、その親族その他の特殊関係者以外の第三者が占有している場合には、その第三者が引渡しを拒むときは、差し押さえることができません。

⇒「差押換」についてはこちら

(2012.10.29)

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