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組織再編
適格分割により移転する減価償却資産等に関する届出書
最近では中小企業でも、事業の多角化や経営の合理化対策などで、持株会社を設立し分社化するケースが多くなってきています。 その場合の分割の多くは適格分割と呼ばれ、課税関係なしに資産負債の移転が行えますが、減価償却資産等については移転に際し、届出が必要になるケースがありますので注意が必要です。今回はその場合の取り扱いについて纏めたいと思います。 1.適格分割により移転する減価償却資産
@原則的取り扱い(期首帳簿価額での移転) 適格分割により減価償却資産を移転する場合には、その減価償却資産は分割法人の分割事業年度の期首帳簿価額により移転します。A特例的取り扱い(分割時帳簿価額での移転) 分割法人は適格分割の日以後2ヶ月以内に「適格分割等による期中損金経理額等の損金算入に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することで、適格分割の日の前日を事業年度終了の日として償却限度額の計算を行い、分割事業年度の損金の額に算入することができます。(法法31条2項、3項)この届出により期中減価償却費計上後の、分割時の帳簿価額で移転が可能になります。 ※非適格分割の場合は特例的な取り扱いはなく、原則的な取り扱いのみとなります 2.一括償却資産
@原則的取り扱い 一括償却資産の引継ぎはできません。A特例的取り扱い ●分割時帳簿価額での移転以下の要件を満たした一括償却資産を分割時の帳簿価額で引き継ぐ場合には、減価償却資産に係る特例的取り扱いの場合と同様に、分割法人は適格分割の日以後2ヶ月以内に「適格分割等による期中損金経理額等の損金算入に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することで、適格分割の日の前日を事業年度終了の日として償却限度額の計算を行い、分割事業年度の損金の額に算入することができます。(法令133条の2第2項、第3項) この届出により期中減価償却費計上後の、分割時の帳簿価額で移転が可能になります。 ●期首帳簿価額での移転 以下の要件を満たした一括償却資産を期首帳簿価額で引き継ぐ場合には、「適格分割等による一括償却資産の引継ぎに関する届出書」を適格分割の日以後2ヶ月以内に納税地の所轄税務署長に提出することで、移転が可能になります。(法令133条の2第7項二、第8項)この届出により期首帳簿価額での移転が可能になります。 ●引き継げる一括償却資産の要件 (1)適格分割により分割承継法人に移転する事業のために取得した減価償却資産又は移転する資産に係る一括償却資産であること(2)(1)の要件を満たすことを明らかにする書類を保存していること 3.繰延資産
@原則的取り扱い(無条件引継繰延資産) 適格分割により分割承継法人に移転する資産負債又は契約と密接な関連を有する以下4つの繰延資産は引継ぎの対象となります。(法法32条4項二、法令66条)(1)分割法人が発行した社債で分割により分割承継法人に移転するものに係る社債等発行費 (2)分割により分割承継法人のみが便益を受けることになる公共的施設又は共同的施設の負担金に係る繰延資産 (3)分割により分割承継法人が引き続き賃借をすることとなる資産に係る権利金、立退料等の費用に係る繰延資産 (4)その他これらに類するもの 上記繰延資産は無条件引継繰延資産といい、通常は期首帳簿価額での移転となりますが、「適格分割等による期中損金経理額等の損金算入に関する届出書」を適格分割の日以後2ヶ月以内に納税地の所轄税務署長に提出することで、適格分割の日の前日を事業年度終了の日として償却限度額の計算を行い、分割事業年度の損金の額に算入することができます。この届出により期中減価償却費計上後の、分割時の帳簿価額で移転が可能になります。(法法32条3項) 無条件引継繰延資産以外の繰延資産については、Aの特例的取り扱いによる移転を除いては、原則として引継ぎができないこととなります。A特例的取り扱い ●分割時帳簿価額での移転(期中償却適用繰延資産) 上記@以外の資産で、移転する資産等と関連を有する繰延資産については、分割法人が「適格分割等による期中損金経理額等の損金算入に関する届出書」を適格分割の日以後2ヶ月以内に納税地の所轄税務署長に提出することで、適格分割の日の前日を事業年度終了の日として償却限度額の計算を行い、分割事業年度の損金の額に算入することができます。この届出により期中減価償却費計上後の、分割時の帳簿価額で移転が可能になります。(法法32条2項、3項、4項二ロ)●期首帳簿価額での移転(引継届出関連繰延資産) 「無条件引継繰延資産」と「期中償却適用繰延資産」以外の資産で、移転する資産等と関連を有する繰延資産については、関連を有する説明等を記した「適格分割等により移転する資産等と関連を有する繰延資産の引継ぎに関する届出書」を適格分割の日以後2ヶ月以内に納税地の所轄税務署長に提出することで、期首帳簿価額での引継ぎが可能になります。(法法32条4項二ハ、5項)4.まとめ
上記内容を表にまとめると以下のようになります。
特に固定資産の多い製造業などで適格分割を検討する場合には、届出書の提出漏れによる影響が大きくなりますので注意が必要です。 (2020.10.08) |
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