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贈与税
負担付贈与について

  今回は、贈与した場合に問題となる負担付贈与について纏めたいと思います。
1、負担付贈与とは
  負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいます。例えば、不動産を贈与により貰い受ける場合に、当該不動産の購入時の借入残債務を負担することを条件としているケースがわかり易いかと思います。債務を負担する代わりに不動産の贈与を受けるということです。このような取引を負担付贈与といいます。
2、課税関係
  個人から負担付贈与を受けた場合は、受贈者に対して贈与財産の価額から負担額を控除した価額に課税されることになります。

  相続税や贈与税の評価上、不動産の評価は、土地については原則として路線価で、建物については固定資産税評価額を基に評価することになります。路線価は公示価格(時価)の8割を目安として評価されており、また、固定資産税評価額は時価の7割を目安として評価されているため、一般的には、相続税評価額は、時価よりも低くなります。

  ところが、負担付贈与があった場合の不動産(土地、借地権、家屋及び構築物)の評価額は、その贈与の時における「通常の取引価額」に相当する金額となり、上記の路線価等を使用することなく、「通常の取引価額」(時価)となってしまいます(平成元年3月29日付直評5外)。

  したがって、負担付贈与の場合の課税される価格は、「通常の取引価額」から負担する金額を控除した金額となり、路線価等に基づき評価した金額よりも高くなってしまいます。

3、賃貸マンションを贈与した場合の問題点
  賃貸マンション(土地及び建物)を贈与した場合を考えてみたいと思います。一般的には、建物を賃貸の用に供している場合には、敷金を預かっているかと思いますが、ここで敷金が問題となってきます。

  敷金とは、不動産の賃借人が、賃料その他の債務を担保するために契約成立の際、あらかじめ賃貸人に交付する金銭(権利金と異なり、賃貸借契約が終了すれば賃借人に債務の未払いがない限り返還されます。)であり、その法的性格は、停止条件付返還債務である(判例・通説)とされています。

  また、賃貸中の建物の所有権の移転があった場合には、旧所有者に差し入れた敷金 が現存する限り、たとえ新旧所有者間に敷金の引継ぎがなくても、賃貸中の建物の新所有者は当然に敷金を引き継ぐ(判例・通説)とされています。

  そのため、賃貸マンションのみを贈与すると、受贈者は、自動的に敷金返還債務を負うことになるため、負担付贈与となってしまい、時価に対して贈与税が課税されてしまいます。

  負担付贈与とならないようにするためには、賃貸マンションと合わせて敷金相当額も贈与する必要があります。こうすることで、実質的に受贈者が負担する金額がなく、負担付贈与に該当しないことにより、路線価等に基づいて評価した金額により課税されることになります。

4、まとめ
  賃貸マンションに係る敷金債務については、見落とし易いかと思います。今後は、生前贈与を検討される方が増加すると予想されますが、事前に専門家の意見も聞きながら、しっかり検討することが重要かと思います。

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(2012.8.22)

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