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個人が法人に対して不動産を贈与又は遺贈した場合等の取扱い

  今回は個人が法人に対して不動産(土地及び建物)を贈与又は遺贈した場合と、個人が法人に対して不動産を著しく低い価額で譲渡した場合の取扱いについて纏めたいと思います。
1. 個人が法人に対して不動産を贈与又は遺贈した場合
 
@ 個人の課税関係(みなし譲渡課税)
    個人が譲渡所得の基因となる不動産を法人に対して贈与又は遺贈した場合には、その時における価額によりその不動産の譲渡があったものとみなして所得税を計算します。譲渡代金を収受していないにもかかわらず、含み益(贈与時又は遺贈時における価額と取得費用の差額)について譲渡所得課税がされてしまうことになります。

  なお、この場合の“その時における価額”(以下、「時価」といいます。)とは、通常の売買取引で成立すると認められる価額をいい、相続税評価額とは異なります。

A 法人の課税関係
    贈与又は遺贈により不動産を取得した法人は、その不動産の時価により不動産及び受贈益を認識します。受贈益は法人税の課税所得の計算上益金となります。



B 同族会社の場合の個人株主の課税関係
    個人が同族会社に対して不動産を贈与又は遺贈した場合、同族会社の株主は保有する株式の株価が上昇することで間接的に利益を享受することになるため、個人から同族会社の株主に対して贈与があったものとして、同族会社の株主に対して株価上昇部分を課税標準とする贈与税が課税されます。

  なお、同族会社とは株主等の3人以下並びにこれらと特殊の関係にある個人及び法人が有する株式の総数又は出資の金額の合計額が、その会社の発行済株式の総数又は出資金額の100分の50超に相当する会社をいいます。


2.個人が法人に対して不動産を著しく低い価額で譲渡した場合の取扱い

@ 個人の課税関係(みなし譲渡課税)
    個人が譲渡所得の基因となる不動産を法人に対して著しく低い価額で譲渡した場合には、贈与又は遺贈した場合と同様に、譲渡時の時価によりその不動産の譲渡があったものとみなして所得税を計算します。

  なお、この場合の“著しく低い価額”とは、譲渡時の時価の2分の1に満たない金額であると法令において定義されています。従いまして、時価の2分の1以上の価額で譲渡していれば、みなし譲渡課税は適用されないことになります。ただし、同族会社等への譲渡については、時価の2分の1以上の価額で譲渡した場合であっても、同族会社等の行為又は計算の否認規定によって、時価に相当する金額で譲渡したものとみなして譲渡所得課税が適用される可能性がありますので留意が必要です。

A 法人の課税関係
    時価に比して低い価額で不動産を取得した法人は、その不動産の時価と取得価額との差額について受贈益を計上します。受贈益は法人税の課税所得の計算上益金となります。なお、譲渡時の時価の2分の1以上の価額で譲渡を受けている場合であっても、時価と取得価額との差額は受贈益として認識することになります。



B 同族会社の場合の個人株主の課税関係
    個人が同族会社に対して不動産を著しく低い価額で譲渡した場合、贈与又は遺贈した場合と同様に、同族会社の株主は保有する株式の株価が上昇することで間接的に利益を享受することになるため、個人から同族会社の株主に対して贈与があったものとして、同族会社の株主に対して贈与税が課税されます。

  個人から法人への不動産の贈与・遺贈は課税上不利な取扱いを受けることになるため避けた方がよいかと思います。また、対価を収受して譲渡する場合には、税務調査等において低額譲渡と認定されることのないように、鑑定評価書を取得するなど譲渡時の時価を客観的に証明できるようにしておく必要があると思います。とりわけ、資産家の方がご子息等が運営する不動産保有会社へ不動産を譲渡する際には留意が必要です。


⇒「配偶者控除」についてはこちら

(2014.10.15)

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