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グループ法人税制・その3

  今回は100%グループ内の法人間の寄附に関する法人税上の取扱いについて説明します。
1.制度趣旨
  通常、法人が他の法人に対し寄附を行った場合、支出法人では支出した寄附金のうち一定の限度額を超える部分の金額が損金不算入となり、受取法人では受取金額の全額を受贈益として益金に算入することになります。
  一方、100%グループ内の法人間で寄附を行った場合には、支払法人で全額損金不算入となり、受取法人では全額益金不算入となります。100%グループ内の内部取引については課税関係を生じさせないようにするための措置です。なお、支払法人で全額損金算入し、受取法人で全額益金算入することでもトータルとしての課税はプラスマイナスゼロになりますが、法人間での所得の付け替えを許してしまうことになるので、採用されていないようです。
2.対象範囲
  本制度の対象は、内国法人から内国法人への寄附に限られます。また、法人による完全支配関係のある法人間の寄附に限られ、個人による完全支配関係のある法人間の寄附については本制度の対象から除外されています。個人による完全支配関係のある法人間の寄附について本制度を適用してしまうと、相続税・贈与税を回避した親族間の財産移転が可能となってしまうためです。
  下記の【図1】の関係がある場合、寄附@は、A社とB社は個人による完全支配関係にあるため、本制度の対象外となります。寄附Aは本制度の対象となります。寄附Bは内国法人から外国法人への寄付であるため本制度の対象外となります。
【図1】
譲渡損益調整資産について

  また、整理・再建のための一定の経済的利益の供与として法人税基本通達9−4−1や9−4−2に該当する利益供与については、そもそも「寄附金」に該当しないものとして取り扱われますので、本制度の対象にはなりません。株主等に対し出資者たる地位に基づいて供与した経済的利益(法人税基本通達1−5−4)として配当として取り扱われるものについても同様に本制度の対象外となります。

3.株主における寄附修正
  グループ法人間の寄附について課税関係が生じないため、これを利用した租税回避行為が横行してしまう恐れがあります。例えば、子会社が親会社に対して財産の全てを寄附した後、子会社株式を譲渡して譲渡損を作り出すような行為です。このような租税回避行為を防止する措置として、寄附金の支出法人又は受取法人の株主が所有する支出法人又は受取法人株式の帳簿価額を加減算することとされています。
  完全支配している子法人において、他の内国法人から本制度により全額益金不算入となる受贈益を受け、又は、他の内国法人に本制度により全額損金不算入となる寄附金を支出した場合、次の金額を利益積立金に加減算し、その同額を子会社株式の帳簿価額に加減算することになります。

受贈益の額 × 持分割合 − 寄附金の額 × 持分割合

【図1】の寄附A(C社がD社に対し100の現金による寄附を行った場合)を例にとると、A社は下記のような修正をすることになります。

支払法人株式の修正(税務仕訳)

借 方 貸 方
利益積立金 100(*1) C社株式 100(*1)

(*1) 寄附金の額100×持分割合100%

受取法人株式の修正(税務仕訳)

借 方 貸 方
D社株式 100(*2) 利益積立金 100(*2)

(*2) 受贈益の額100×持分割合100%

  A社がC社株式又はD社株式を売却した場合には、税務上の譲渡損益は修正後の帳簿価額を譲渡原価として計算することになります。
  また、上記例の場合、C社がD社に対して寄附をした事実をA社が適時把握していなければ寄附修正をすることができません。<グループ法人税制その2>で説明した譲渡損益調整資産のように通知義務は制度化されていませんが、実務上はグループ法人内での寄附の支払・受贈があった場合には親法人に通知する必要があります。

⇒「受取配当等」についてはこちら

(2012.3.26)

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