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グループ法人税制・その8

  今回は100%グループ内の子法人の残余財産が確定した場合の繰越欠損金額の引継制度について纏めます。
1. 子法人の残余財産が確定した場合の取扱い
  親法人との間に完全支配関係がある子法人が解散し残余財産が確定した場合、その子法人の残余財産の確定の日の翌日前9年以内に開始した各事業年度において生じた未処理欠損金額があるときは、その前9年内事業年度において生じた未処理欠損金額は、それぞれその未処理欠損金額の生じた前9年内事業年度開始の日の属する親法人の各事業年度において生じた欠損金額とみなされます(法法57A)。

  また、これに対応して、親法人はその子法人株式の消滅による損失を損金算入することはできず(法法61の2O)、子法人株式消滅損見合いの金額は資本金等の減少として扱われます(法令8@19)。尚、残余財産が確定する前に計上する株式評価損も、清算中である場合や解散が見込まれている場合には損金不算入となります(法法33D)。

  一方、完全支配関係がない子法人の残余財産が確定した場合には、子法人の未処理欠損金の引継はなく、代わりに子法人株式に係る譲渡損失(消滅損失)が損金算入されることになります(法法61の2@)。

2. 完全支配関係
  欠損金の引継の対象となるのは、親法人による完全支配関係又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係がある場合に限られます。グループ頂点の親法人の株式の一部をグループ内の子法人が有していた場合、グループ頂点の親法人の残余財産が確定したとしても株主である子法人に欠損金が引き継がれることはありません。
3. 未処理欠損金の帰属年度
  親法人に引継がれる未処理欠損金額は、子法人のそれぞれの未処理欠損金額の生じた前9年内事業年度開始の日の属する親法人の事業年度において生じた欠損金額とみなされるのが原則です。ただし、親法人のその残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度開始の日以後に開始した子法人のその前9年内事業年度において生じた未処理欠損金額にあっては、その残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度の前事業年度において生じた欠損金額とみなされます(法法57A)。また、子法人の未処理欠損金額の生じた最も古い事業年度開始の日が親法人の設立前であるときは、その設立前までの期間については、子法人の事業年度の期間を親法人の事業年度とみなすこととされています(法令112A)。

帰属年度

4. 親法人が2以上ある場合の引継金額
  例えば、残余財産の確定した子法人Aの株式を、親法人が50%、親法人との間に完全支配関係のある別の子法人Bが50%有している場合には、子法人Aの欠損金を引継ぐ親法人が2社存在しますが、その場合には各親法人の清算子法人の持株割合に応じて子法人Aの欠損金を引継ぐことになります(法法57)。
5. 子法人の未処理欠損金の引継制限
(1)制度内容
  上記で説明した子法人の欠損金額については、その引継額に一定の制限が設けられています。この制限は適格合併に係る被合併法人の未処理欠損金額の引継制限と同様に、グループ外の法人の欠損金を利用した租税回避行為を防止するために設けられているものです。具体的には、次の@からBのうち最も遅い日から継続して支配関係がない場合には、繰越欠損金の引継が制限されます(法法57B)。

@子法人の残余財産が確定した日の翌日の属する事業年度開始の日の5年前の日

A子法人の設立の日

B親法人の設立の日

  なお、適格合併などの場合には、みなし共同事業要件を満たせば繰越欠損金の引継は制限されませんが、子法人の残余財産が確定した場合には、みなし共同事業要件に該当する場合の制限の除外規定はありません。みなし共同事業要件が清算の場面の実態に合わないためです。

(2)繰越欠損金の引継制限額
  繰越欠損金の引継制限額は下記の表のとおりです。

繰越欠損金の引継制限額

  また、残余財産の分配として、子法人から現物分配を受けた場合には、親法人(被現物分配法人)の欠損金の使用も制限されるケースがありますので注意が必要です。(詳細については「グループ法人税制-現物分配」をご覧ください。)

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(2013.2.14)

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