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グループ法人税制・その5

  今回は「100%グループ内法人の株式の発行法人に対する譲渡」について、完全支配関係のない場合と比較し、纏めます。
(1) 完全支配関係がない場合の取扱い
  まず完全支配関係のない法人間で自己株式の譲渡等があった場合の課税関係を説明します。発行法人に株式を譲渡した法人が自己株式を取得されることを予定して取得した株式であるか否かで課税関係が異なってきます。

@自己株式として取得されることを予定して取得した株式以外の譲渡

  法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く)の株主等である内国法人がその法人の自己株式の取得(市場における購入による取得等を除きます。)により金銭等の交付を受けた場合において、その金銭等の合計額がその法人の資本金等の額のうちその交付の基因となった株式等に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額は、みなし配当等の額とされます。自己株式の取得は実質的には剰余金の配当等と変わらないため、剰余金の配当を受けた場合と同じような課税関係にする趣旨です。

  また、譲渡損益は、『(譲渡対価の額−みなし配当等の額)−譲渡原価の額』により計算します。課税所得の計算上、取得法人から受けた金銭等を配当部分と譲渡対価部分に分けて考えているためです。

  なお、みなし配当等は受取配当等の益金不算入の制度により控除負債利子を控除した金額の全額又は半額が益金不算入となるのに対し、譲渡損益の計算ではみなし配当の額が譲渡対価の額から控除されるため、税制上のみ損失が作り出される結果となる場合があります。そこで、租税回避の手法として利用されないように一定の要件を満たす場合には、受取配当等の益金不算入の適用が制限されていますが、これについてはAで説明します。

例1

A自己株式として取得されることを予定して取得した株式の譲渡

  みなし配当等が生じる基因となる事由(自己株式の取得)が生じることを予定して取得した株式等に係るみなし配当等でその予定されていた事由に基因するものについては、受取配当等の益金不算入の規定は適用除外となります。これは、@でも触れた通り、税務上の譲渡損を計上することを目的とした租税回避行為を防止するための措置です。

  実務上問題となるのは、自己株式として取得されることを『予定』した取得か否かの判断です。ここでの『予定』とは、自己株式の取得が具体的に予定されていることを意味します。例えば公開買付けに関する公告がされている場合や組織再編成が公表されている場合には『予定』されていることに該当しますが、単に取得条項や取得請求権が付されていることのみをもって『予定』されていることには該当しません。また、予定して取得した株式等に係るみなし配当等であっても、当初予定されていた事由に基因するものでなければ、本制度(受取配当等の益金不算入の規定の適用除外)は適用されないこととなります。

例2

(2) 完全支配関係がある場合
  内国法人が有していた完全支配関係のある他の内国法人の株式につき、他の内国法人に対して自己株式の取得として譲渡するなどのみなし配当事由により金銭等の交付を受けた場合には、その株式の譲渡利益額又は譲渡損失額の計算上、その譲渡対価の額は、その譲渡原価に相当する金額となります。すなわち、譲渡損益は計上されないこととなります。

  これは、グループ法人が一体的に経営されている実態を踏まえた措置で、100%グループ内の法人間の資産の譲渡取引等があった場合に譲渡損益が繰延べられるのと同様の考え方によるものです。ただし、税務上、自己株式の取得は資本の減算項目として取得と同時に消却したような処理を行っていることから、『譲渡損益の繰延』ではなく『譲渡損益を計上しない』処理がされます。

例3

(3) まとめ
  譲渡法人から受ける金銭等を配当と譲渡対価に分けて考えるのは、完全支配関係の有無に関係なく共通した考え方です。

  完全支配関係がない場合には、配当の一部が益金(一定の場合には、全額益金)となり、譲渡損益は課税所得になります。一方で完全支配関係がある場合には、配当は全額が益金不算入となり、譲渡損益は0円となります。つまり、課税所得には影響しません。

例2

⇒「中小企業向け特例措置」についてはこちら

(2012.8.16)

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