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グループ法人税制・その7

  今回は100%グループ内の法人間で現物配当があった場合の税務上の取扱いについて、特に適格現物分配に係る繰越欠損金の使用制限及び特定資産譲渡等損失額の損金算入制限について纏めます。
1. 現物分配とは
  現物分配とは、税務上、法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)がその株主等に対し次の事由により金銭以外の資産の交付をすることと定義されています(法法2@)。

@剰余金の配当若しくは利益の配当又は剰余金の分配

A資本の払戻し又は解散による残余財産の分配

B自己の株式又は出資の取得

C出資の消却、出資の払戻し等

D組織変更

2. 非適格現物分配の課税関係

  適格現物分配以外の現物分配(以下、便宜上、「非適格現物分配」といいます。適格現物分配については後述します。)があった場合、現物分配法人(現物分配によりその有する資産の移転を行った法人)は、現物資産の時価相当額と帳簿価額との差額について譲渡損益を認識することになります(法法22A)。また、利益の配当に該当する部分については、源泉徴収義務が生じます(所法24@、181@)。

  被現物分配法人(現物分配により現物分配法人から資産の移転を受ける法人)は、受取配当等の益金不算入の規定の適用を受けることになりますが、移転を受けた現物資産の時価に相当する金額が本規定の適用を受ける配当等の額となります(法基通3-1-7の5)。

  残余財産の全部の分配又は引渡しにより被現物分配法人に資産の移転をする場合は移転資産の譲渡損益を認識しますが、当該譲渡損益は残余財産の確定時の時価により残余財産確定日の属する事業年度の益金又は損金に算入されます(法法62の5@A)。

【例】

  剰余金の配当として、投資有価証券A(簿価100、時価200)を株主に交付。株主B社の持分は10%。
<現物分配法人>
税務仕訳
(借)利益積立金額 200 (貸)投資有価証券 100
(貸)株式譲渡益 100
<被現物分配法人・B社>
税務仕訳
(借)投資有価証券 20 (貸)受取配当金 20

※源泉徴収は考慮していません。剰余金の配当の全額について現物分配する場合には、現物分配法人は被現物分配法人から源泉徴収税相当額を受領する必要が生じます。

※消費税法上は不課税取引に該当します。

3. 適格現物分配の課税関係
  適格現物分配とは、現物分配のうち、完全支配関係がある内国法人間(被現物分配法人が普通法人又は協同組合等のみである場合に限る。)で行われるものをいいます(法法2@)。完全支配関係にあるかどうかは現物分配の直前で判定します。適格現物分配により資産の移転をした場合は、その適格現物分配の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、現物分配法人側では移転した資産の譲渡損益を計上せず、被現物分配法人側では、現物分配法人の適格現物分配の直前の帳簿価額を、移転を受けた資産の取得価額とします(法法62の5B、法令123の6@)。グループ法人が一体的に経営されていることに着目すると、グループ法人間での現物分配は、資産の譲渡損益が実現していないと考えられるため設けられている措置です。

  また、被現物分配法人では適格現物分配により資産を受けたことにより生じた収益の額は益金の額に算入しないと規定されており、受取配当金に対しては課税がされません(法法62の5C、法令9@4)。なお、源泉徴収も不要となります(所法24)。

【例】

  剰余金の配当として、投資有価証券A(簿価100、時価200)を株主C社(100%親法人)に交付。
<現物分配法人>
税務仕訳
(借)利益積立金額 100 (貸)投資有価証券 100
<被現物分配法人・C社>
税務仕訳
(借)投資有価証券 100 (借)利益積立金額 100

※消費税法上は不課税取引に該当します。

4. 適格現物分配の被現物分配法人の繰越欠損金の使用制限及び特定資産譲渡等損失の損金算入制限
(1) 制度内容
  適格現物分配は組織再編成の一形態として位置づけられており、他の適格組織再編制と同様の措置(現物分配による負債の移転は想定されていないため、事業の移転を前提とする措置は除かれています。)が講じられていますが、特筆すべきものとして、「被現物分配法人の有する繰越欠損金の使用制限」「特定資産譲渡等損失の損金算入制限」が挙げられます。

  適格現物分配で、現物分配法人と被現物分配法人の間に次の@〜Bの日の最も遅い日から継続して支配関係がない場合は、被現物分配法人の有する繰越欠損金の使用が制限され(法法57C)、被現物分配法人の適用期間において生じる特定資産譲渡等損失額は、被現物分配法人の損金の額に算入されないこととなります(法法62の7@)。

@適格現物分配の日の属する事業年度開始の日の5年前の日

A被現物分配法人の設立の日

B現物分配法人の設立の日

  適格合併などの場合には、みなし共同事業要件を満たせば繰越欠損金の使用は制限されませんが、適格現物分配についてはみなし共同事業要件による判定はありません。

  なお、支配関係とは、次のような関係をいいます(法法2@12の7の5)。

@一の者が法人の発行済株式等の50%超を直接又は間接に保有する関係

A一の者との間に上記@の関係がある法人相互の関係

(2)繰越欠損金の使用制限額
  繰越欠損金の使用制限額は下記の表のとおりです。

例1

(3)適用期間
  適用期間とは、適格現物分配日の属する事業年度開始の日から、次の@Aのうちいずれか早い日までの期間をいいます(法法62の7@)。

@適格現物分配の日の属する事業年度の開始の日以後3年を経過する日

A支配関係発生日以後5年を経過する日

(4)特定資産譲渡等損失額
  特定資産譲渡等損失額は、特定引継資産譲渡等損失額と特定保有資産譲渡等損失額の合計額をいいます(法法62の7A)。特定引継資産譲渡等損失額とは、被現物分配法人が適格現物分配により移転を受けた資産で、現物分配法人が支配発生日以前から有していた資産(土地等を除く棚卸資産、短期売買商品、売買目的有価証券、帳簿価額又は取得価額が1,000万円に満たない資産を除きます。以下、「特定引継資産」といいます。)の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他これらに類する事由による損失の額の合計額から特定引継資産の譲渡又は評価換えによる利益の額の合計額を控除した金額をいい、特定保有資産譲渡等損失額とは、被現物分配法人が支配関係発生日以前から有していた資産(土地等を除く棚卸資産、短期売買商品、売買目的有価証券、帳簿価額又は取得価額が1,000万円に満たない資産及び時価が帳簿価額を下回っていない資産を除きます。以下、「特定保有資産」といいます。)の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他これらに類する事由による損失の額の合計額から特定保有資産の譲渡又は評価換えによる利益の額の合計額を控除した金額をいいます(法法62の7A)。

  また、欠損金の使用制限と同様に損金算入制限についても、緩和の特例が設けられています。具体的には下記の表のとおりです。

例2

⇒「欠損金引継制度」についてはこちら

(2012.12.18)

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