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土地建物の交換をしたときの特例

  個人が固定資産を交換した場合、原則として取得した資産の価額により譲渡があったものとして、所得税が課されますが、その交換が一定の要件を満たすものである場合、譲渡がなかったものとする特例があり、これを固定資産の交換の特例といいます。(所法58)
  譲渡がなかったものと考えるため、交換時に譲渡所得税は発生せず、譲渡がないので交換により取得した資産の取得価額や取得日は、譲渡した資産の取得価額や取得日を引き継ぐことになります。
  特例を適用した場合としなかった場合の税額の違いを、具体例を使って見ていきます。
≪例1≫
A宅地(時価1億円)を譲渡しB宅地(時価1億円)を取得する。
いずれも長期(10年)保有で取得価額が不明のため、売却価額の5%とする。
手数料等は発生しないものとする。

@交換特例を適用しなかった場合

譲渡所得:1億円−500万円(=1億円×5%)=9,500万円
譲渡所得税等:9,500万円×20%=1,900万円

A交換特例を適用した場合

譲渡所得:0円

  単純に土地を交換する場合だけでなく、隣接する土地の一部分をお互い交換すれば整形地になる場合や、借地権と底地権を一部分交換してどちらも更地にしたい場合など、要件に該当すれば無税で資産を移転することができるため、とても有効な制度です。しかしその要件がかなり厳しいため、適用にあたっては慎重に検討する必要があります。

交換例1

交換例2

(1)特例の適用要件
  交換特例の適用を受けるためには、以下の@からEの全てに該当することが要件になります。

  @交換譲渡資産及び交換取得資産は、いずれも固定資産であること(棚卸資産は除きます)。

  A交換譲渡資産と交換取得資産は、いずれも次に掲げる資産の区分に応ずる同種の資産であること。

資産の区分
@ 土地、借地権及び耕作権
A 建物、建物附属設備及び構築物
B 機械及び装置
C 船舶
D 鉱業権

  B交換譲渡資産は、一年以上所有していたものであること。

  C交換取得資産は、交換の相手が一年以上所有したものであり、かつ交換のために取得したものでないこと。

  D交換取得資産は、交換譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供すること。
用途については、次のように区分されます。

交換譲渡資産の種類 用途の区分
土地 宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他
建物 居住用、店舗又は事務所用、工場用、倉庫用、その他用

  E交換時における交換取得資産の時価と交換譲渡資産の時価との差額が、これらのうちいずれか高い方の価額の100分の20に相当する金額を超えないこと。

(2)申告要件
  この特例の適用を受けようとする場合には、次の申告手続きをする必要があります。

  @確定申告書の「特例適用条文」欄に「所法58」と記載します。

  A「譲渡所得計算明細書」を添付します。
代金の授受がないとうっかり申告を忘れそうになりますが、申告することが要件になります。

(3)譲渡所得の金額の計算

  交換譲渡資産と交換取得資産の時価が同じで交換差金等の授受がない場合は、譲渡所得は発生しません。
  しかし、交換譲渡資産の価額が交換取得資産の価額よりも高いため、交換譲渡資産の価額の100分の20以下の交換差金を受けたときは、その交換差金等についてのみ譲渡所得が課税されます。(所法58@)

以下、交換差金を受け取った場合の譲渡所得の具体例です。

≪例2≫
A土地(時価1億円)を譲渡し、B土地(時価9,000万円)と交換差金1,000万円を取得する。
A土地、B土地のいずれも長期(10年)保有で、取得価額は売却価額の5%とする。
手数料等は発生しないものとする。

例2

(4)交換の特例の適用を受けようとする場合の注意点
  どうしても交換したい土地がある場合など、通常の取引価額と異なる金額で交換の合意がされるケースも考えられます。

  時価の異なる固定資産でも、特殊関係者でない者同士の交換であれば、合意されたその資産の価額が交換をするに至った事情等に照らし合理的に算定されていると認められる場合は、その価額が時価として認められます。(所基通58-12)

  ただし、交換当事者が親族間や社長と同族会社などといった特殊関係者同士であった場合、時価の差額が交換差金と認定されることがあります。この場合交換特例の適用ができないだけでなく、贈与税の問題も発生する可能性がありますので、注意が必要です。特殊関係者同士で交換を行う場合は、鑑定評価書等を取得するなど客観的に時価を立証できるよう準備しておいたほうがよいでしょう。


(2013.07.02)

⇒「買換特例」についてはこちら

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