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少人数私募債を使った役員の節税防止措置について

  少人数私募債の活用は中小企業の経営者の節税スキームとして知られていますが、平成25年度税制改正でこの節税スキームの封じ込め措置が講じられています。今回は、この少人数私募債を使った節税スキームとその封じ込め措置について纏めたいと思います。
T.少人数私募債とは
  少人数私募債とは、一般に、会社が親族・従業員・取引先などの縁故者を対象として発行する社債で、下記の要件を満たすことで、社債管理者の設置・有価証券届出書の提出は不要になり、手軽な社債の発行・資金調達を可能にするものです。

@社債引受の勧誘対象が50名未満であること(機関投資家を除く)

A発行する社債は第三者へ譲渡される恐れが少ないこと(一括譲渡を除く譲渡制限が設けられていること)

B発行総額が最低券面額の50倍未満であること

※発行総額が1億円を超えると、一定の事項を社債権者に告知する義務が生じることとなります。

U.少人数私募債を利用した節税
  役員が会社に貸付金を有していた場合に、その貸付金に係る受取利息は、その役員の所得税を計算する際に、雑所得として、給与所得等と合算され総合課税の対象となります。所得税の総合課税における累進税率は現状5〜40%(+住民税10%)で、さらに平成27年分からは最高税率が45%に引き上げられます。一方、少人数私募債の社債利子として受け取った場合、現行法上、当該社債利子は源泉分離課税により一律で15%(+住民税5%)の税率が適用されます。つまり、所得税の総合課税の税率と住民税の税率の合計が20%より高い場合に、その税率の差分の所得税及び住民税を節税できるというのが、この少人数私募債を利用した節税です。

  例えば、ある会社が利息2%で5000万円の少人数私募債を発行し、総合課税の累進税率が現状では最高税率の40%(+住民税10%)の役員が一人で引き受けた場合で考えてみます。

  この場合、役員が受け取る年間の利息の合計額は100万円になりますので、100万円×(50%−20%)=30万円を節税することができるというわけです。

V.少人数私募債を使った節税の封じ込め措置
  平成25年度税制改正により、平成28年1月1日以後に発行された公社債で、その発行会社が同族会社に該当することになる場合には、その発行会社の株主等一定の者が受け取る社債利子は総合課税の対象となります。

  同族会社とは、簡単に言えば、3つ以下の株主グループにより実質的にその会社の株式の50%超を所有されている会社をいいます。多くの中小企業がこの同族会社に該当することになるため、この改正により、少人数私募債を使った節税スキームは封じ込められたと言えるでしょう。

W.適用開始時期
  平成28年1月1日以後に発行された社債の利子について、総合課税の対象となります。従って、平成27年12月31日までに、償還期限を長期に設定した少人数私募債の駆け込み発行が起こる可能性があります。
X.課税上のリスク
  状況によっては、適正利率を超える部分又は少人数私募債の利息全体が役員給与と認定されるリスクがあります。

  例えば、会社に十分な資金があるにもかかわらず、少人数私募債を発行し、その分だけ役員報酬を減額した場合や、高すぎる利率を設定している場合には注意が必要です。

  少人数私募債を活用した節税スキームは、封じ込め措置の適用開始が平成28年1月1日以降に発行されたものとされたため、駆け込みで発行をするケースも考えられますが、リスクや要件をきちんと理解した上でご検討下さい。


(2013.10.15)

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