業務内容事務所概要・経営者紹介会計税務情報アクセス関連サイト

会計税務情報

税務
コンサル
SPC
会計
所得税
競走馬の譲渡損失と損益通算について

  個人が所有する競走馬(事業用)を譲渡した場合に生じた譲渡損失を他の所得や譲渡所得との間で損益通算できるかどうかについて取り纏めます。
1、前提
  甲は、2年前に1,000万円で取得した競走馬を3月に50万円(この時点の簿価600万円)で譲渡しました。
  なお、甲は、競走馬を約50頭保有しており、所有する競走馬をレースに出走させることにより毎年賞金を受領しています。なお、競走馬に係る事業所得は、上記の譲渡を除き100万円となっています。
  甲は、競走馬に係る所得以外に、給与所得が2千万円、雑所得が300万円生じています。
  この場合に、競走馬の譲渡に係る損失は、どのように取り扱われるのでしょうか。
所得内訳 所得金額
事業所得(競走馬) 1,000,000
給与所得 20,000,000
雑所得 3,000,000
競走馬の譲渡に係る損失額 △5,500,000
2、基本的な考え方について
  不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、土地建物等の譲渡及び株式等に係る譲渡に係る損失等一定のものを除き、一定の順序により、他の各種所得の金額と損益通算することができることとされています(所法69条、所法62条、所令200条)。
  ただし、以下のような「生活に通常必要でない資産」に係る所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、原則として、その金額はなかったものとみなされ、損益通算の対象とはなりません(所令178条@)。

(1)競走馬(その規模、収益の状況その他の事情に照らし、事業と認められるものの用に供されるものを除く。)

(2)通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で、主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有する不動産等

(3)生活用動産でその譲渡所得が非課税とされるもの以外のもの

  そのため、本件の競走馬が、上記(1)に該当する場合には、その譲渡による損失については、他の所得と損益通算ができないこととなります。

3、本件の取扱い
  本件においては、50頭もの競走馬を保有し、出走させることによる賞金を得ていることから、当該事業は事業的規模を有しているものと考えられます。そのため、基本的には、2(1)のカッコ書きである「その規模、収益の状況その他の事情に照らし、事業と認められるもの」に該当するものと考えます。

  したがって、当該事業所得の用に供していた競走馬に係る譲渡損失は、事業所得の金額の計算上の損失となるため、その損失の金額は、特定の所得(土地建物等の譲渡や株式等に係る譲渡所得等)を除き総合課税の対象となる他の種類の所得金額との損益通算が可能です。

  結果、事業所得は、△450万円(100万円−550万円)となるため、この△450万円は、給与所得及び雑所得から控除され、合計所得金額が1,850万円(2,000万円+300万円−450万円)となります。


(2013.09.17)

⇒「住宅借入金等特別控除」についてはこちら

この記事についてのお問い合わせ・お見積りはこちらへ

▲トップに戻る

Copyright Asuna Accounting. All rights reserved.  プライバシーポリシー