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貸家とその敷地の相続税法上の評価について
マンションを賃貸の用に供していたり、親の実家を貸家として収入を得ているようなケースがよく見受けられますが、今回は、貸家とその敷地の相続税における評価について、取り纏めたいと思います。
(1)前提 甲は、以下のような土地及び家屋を所有しており、その家屋を貸家として賃貸しています。 この場合の、土地及び建物の相続税法上の評価額はどのようになりますでしょうか? <前提> ・借地権割合:70% ・借家権割合:30% ①家屋 貸家として評価することになりますので、以下の算式により評価します(評基通93)。
したがって、「固定資産税評価額の7割」が評価額となります。 これは、家屋を貸家の用に供していることから、借地借家法により借家に対する保護規定の適用対象となる賃借権の場合には、法律上も権利関係が保護され、所有者の使用収益権が制限されることから、一定の評価減がされることになっています。 なお、上記の評価減は、借地借家法で権利関係が保護されるケースを想定していますので、使用貸借(無償による賃貸借)については、上記のような評価減はありません。 また、一般的には、固定資産税評価額は時価の7割を目安とされていますので、時価に比較し、相続税評価額は低くなることが多いでしょう。 ②貸家の敷地の用に供されている宅地の評価 家屋と同様に借地借家法により保護されていることに鑑み、一定の評価減がされるようになっており、以下の算式により評価します(評基通26)。
したがって、「更地価額の79%」が評価額となります。 また、相続税法上の評価は、時価の8割を目安とされています。 そのため、貸家を借金で建設することにより、相続税評価額を軽減するような取引(借金は100%財産から控除できるにも拘わらず、建設した家屋及び土地が上記のように評価減されるため、財産評価額を減少させる効果があります。)も過去には行われていましたが、土地の価額が下がり続けている現代では、相続税対策のみを目的として、このような取引を行うことは減少してきたと思われます。
貸家の用に供されている場合には、家屋及びその敷地についても評価減がされましたが、たまたま、相続直前に賃借人が退去したことにより空き家となってしまったときは、どのように評価するのでしょうか? 貸家について評価減をする趣旨は、借地借家法により賃借権が保護されていることが理由ですので、相続時点で貸家の用に供されていない場合には、たまたま、空き家となっているときであっても、評価減をすることはできないことになります。 したがって、家屋については、「固定資産税評価額」により、土地については、「更地価額」により評価することになります。 なお、所謂一軒家については、3に記載するようなアパート等の特例はありませんので、相続発生時点の状況により判断されることになります。
原則は、2で記載したように評価減ができませんが、一時的に空室となってしまったと考えられる次のような状況の場合には、貸家として評価減をすることができます(国税庁HP)。
万一、相続時点で空き家となっている場合には、親族を無償で居住させたりせず、また、賃貸業者への募集活動を委託する等によりエビデンスを残すことが、税務調査で誤解を生まないためにも必要となります。
テナントの退去の日や相続が起きる日をコントロールすることはできませんが、特に一軒家で貸家の用に供している家屋については、相続時点の状況により評価額に大きな影響を及ぼすことから、普段から所有する資産の状況を把握しておくことが重要です。 (2012.3.8) |
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