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居住用宅地等の特例が受けられるかについて

  今回は、以下のような前提の場合に小規模宅地等の特例(居住用)の適用を受けることができるかどうかについて、纏めたいと思います。

T.質問
  甲は、自身が有する土地に所在する建物(建物については、子Aが所有)に子Bと同居して生活していた。子Aは、結婚しており、被相続人及び子Bとは、別生計であった。
  甲は、建物については自身が生活の用に供していることから、固定資産税相当額を子Aに支払っていた。
  甲が死亡したことから、当該土地を子Bが相続により取得したが、小規模宅地等の特例(特定居住用)の適用を受けることはできるのでしょうか?
  なお、親族関係図は、以下のとおりである。

(図)親族関係図
U.小規模宅地等の特例(特定居住用)
  相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいう。(次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られる。)。

特定居住用宅地等の要件


区分特例の適用要件
取得者取得者等ごとの要件
被相続人の居住の用に供されていた宅地等被相続人の配偶者「取得者ごとの要件」はありません。
被相続人と同居していた親族相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
被相続人と同居していない親族 @からBの全てに該当する場合で、かつ、
次のC及びDの要件を満たす人

@ 相続開始の時において、被相続人が一時居住被相続人、非居住被相続人又は非居住外国人であり、かつ、取得者が一時居住者又は日本国籍及び日本国内に住所を有していない人ではないこと。

A 被相続人に配偶者がいないこと

B 被相続人に、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族でその被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)である人がいないこと

C 相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと

D その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等被相続人の配偶者「取得者ごとの要件」はありません。
被相続人と生計を一にしていた親族相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人

V.被相続人等の居住の用に供されていた宅地等とは
  本件土地は、被相続人が所有しているが、建物を子Aが所有していることから、この土地が「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」に該当するかが問題となる。
  この点、「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」とは、次に掲げる宅地等をいうものとされている(措通69の4-7)。

(1) 相続の開始の直前において、被相続人等の居住の用に供されていた家屋で、被相続人が所有していたもの又は被相続人の親族が所有していたもの(当該家屋を所有していた被相続人の親族が当該家屋の敷地を被相続人から無償で借り受けており、かつ、被相続人等が当該家屋を当該親族から借り受けていた場合には、無償で借り受けていたときにおける当該家屋に限る。)の敷地の用に供されていた宅地等


  本件は、被相続人が建物の固定資産税相当額を子Aに支払っていたが、上記の「無償により借り受けていた」かどうかが問題となる。
  この点、「相当の対価に至らない程度の対価の授受」については、無償に含まれることとされている(措通69の4-4)。
  本件については、固定資産税相当額を支払っていたにすぎないことから、「相当の対価に至らない程度の対価の授受」に該当することとなる。
  そのため、子Bが、相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けることができるものと考える。

(2017.08.29)

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