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養子制度と相続税

 養子縁組には相続税節税の効果があるため、それが目的で手続きされるケースがあります。
 しかし、デメリットも多いため、慎重に決断する必要があります。

 以下に養子縁組制度の概要と相続上の問題点についてまとめました。

 民法上の養子

 養子縁組とは、親子関係のない者同士を法律上親子関係があるものとすることで、養子縁組をした日から、養子は養親の嫡出子の身分を取得します(民809)。したがって、養子は実子と同様に養親の法定相続人となります。

 養子縁組には、特別養子縁組と普通養子縁組の2種類があります。
 特別養子縁組とは実父母との親子関係が法的に終了するため、実父母に相続が開始しても相続権はありませんが、普通養子縁組は実父母との親子関係が維持されるために、実父母に相続が開始した場合にも相続権を有します。

 相続税法上の法定相続人

 相続税の計算をする場合、次の4項目については、法定相続人の数を基礎に行います。

(1) 相続税の基礎控除額(相法15)
(2) 生命保険金の非課税限度額(相法12⑤)
(3) 死亡保険金の非課税限度額(相法12⑥)
(4) 相続税の総額の計算(相法16)

 民法上は何人でも養子縁組をすることができますが、税法上は無制限に養子の数を増やして基礎控除額などを大きくし、相続税を安くするということを防ぐために、法定相続人の数に含められる養子の数は、実子がいる場合には1人、実子がいない場合は2人に制限されています(相法15②)。

 なお次のいずれかに該当する養子は、実の子供として取り扱われますので、すべて法定相続人の数に含まれます。

(1) 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
(2) 被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
(3)

被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
(4)

被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属。

 法定相続人の数が1人増えると控除限度額が増加するため確かに節税になるといえます。

 法定相続分と遺産分割

 遺言がない場合、法定相続分に従って遺産が分配されることになりますが、養子縁組をした場合子供が増えたのと同じ効果になるため、養子縁組をしたことで養子以外の実子の相続分が減少することになります。
 このため、養子縁組をしようとしても他の相続人の猛反対にあう可能性があり、もし他の相続人の了承がなく手続きをすませたということになりますと、その後の遺産分割が円滑に進まない可能性があります。

 相続税法には、相続税を優遇する制度がいくつかありますが、相続税の申告期限までに遺産分割が完了し相続税の申告書を提出することを要件としているものがあります。遺産分割がスムーズに進まないと、これらの優遇制度を利用することができず、結果としてかえって相続税負担が大きくなるということもあり得ます。

 孫養子の2割加算

 通常は親から子供へ相続があり、次にその子供から孫への相続があるため、2段階で課税されますが、孫を養子にした場合、子供の代を飛ばすことができるため、相続税を1段階免れることができます。
 これについて平成15年改正により、代襲相続の場合を除いて、孫養子には相続税が20%割増されることになり、むしろ相続税が増えてしまう可能性があります(相法18)。

 養子が認められない場合

 養子の数を法定相続人の数に含めることで、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は相続税の計算をするときの法定相続人の数に含めることはできません(相法63)。
 相続税の負担を少なくするために養子縁組をして、租税回避行為とみなされ税務署から否認される危険性もありますので、養子縁組をすることについての正当な理由が必要となってきます。


 以上のことを十分に考慮したうえで、養子縁組の手続きをおこなうかどうか検討する必要があります。

(2011.10.27)

⇒「養子縁組2」についてはこちら

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