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準確定申告について
個人が死亡した場合の相続税の申告期限は、相続開始から10カ月以内となっておりますが、その前に、その死亡した者が確定申告をしなければならない者であるときは、原則としてその相続人(包括受遺者を含む)はその死亡した者の所得税の確定申告及び納税をしなければなりません。 この、死亡した者の所得税の確定申告手続きを準確定申告といいます。 準確定申告をすべき者は通常の確定申告をすべき者の要件とほぼ同様であり、サラリーマンなど例年年末調整のみで完了していた者が死亡した場合などは準確定申告をする必要はありません。 また、純損失の繰越控除や繰戻還付の適用を受けようとする場合、医療費控除など源泉所得税の還付を受けようとする場合に該当するときは、相続人は所得税の損失申告又は還付等を受けるための申告をする権利を有します。 準確定申告で特に留意すべき点を以下にまとめてみました。
所得税の確定申告は原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までと定められていますが、準確定申告の場合は、「相続の開始があったことを知った日」から4カ月以内とされています。 また、確定申告をすべき者がその年の翌年の3月15日までに確定申告書を提出しないで死亡した場合については、その前年分と死亡した年分との2年分の準確定申告書を4カ月以内に提出しなければなりません。(所法124、125) 申告期限に遅れると、確定申告で期限内申告を要件として適用される規定が適用されないことになりますので、注意が必要です。
準確定申告書は、2人以上の相続人がいる場合、原則としてこれら相続人全員が連署により一の書面で申告し、法定相続分又は相続により取得した財産に応じて納税義務を負います。 この方法に代えて相続人が他の相続人の名前を付記して各人別に準確定申告書を提出することもできますが、この場合は申告した者はその申告内容を他の相続人に通知しなければならないこととされています。(所令263)
準確定申告書は、死亡した者の死亡当時の住所地を管轄する税務署に提出します。 相続人の住所地を管轄する税務署ではないので注意が必要です。(所法16-6)
準確定申告書には、確定申告の記載事項に掲げる事項の他、各相続人の氏名及び住所、被相続人との続柄、相続又は遺贈によって得た財産の価額その他の財務省令で定める事項を記載した付表を添付して提出しなければなりません。(所令263、所則49)
準確定申告においても所得控除の適用はありますが、その適用にあたっての判定時期等が通常の確定申告と異なり、死亡の日となります。 具体的には、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除等、個人が支出した費用等の金額に関係する所得控除については、その死亡の日までに支出した金額等を基礎に控除額を計算します。(所基通124・125−4) 医療費等で死亡する前に支払われたものは準確定申告で医療費控除の対象となりますが、死亡後に支払われたものは準確定申告の医療費控除の対象にはならず、相続税の課税価格の計算上債務控除の対象となります。また、もし死亡した者以外の親族が医療費を負担している場合は、その者の確定申告で医療費控除の対象とすることができます。 配偶者控除、扶養控除等はその死亡した者の死亡の日の現況において、その適用の有無を判定します。 この場合の「配偶者の合計所得金額が38万円以下」という要件は、配偶者のその年の1月1日から12月31日までの間の合計所得金額を見積もって判定することになります。そして、その判定後に偶発的な事由により配偶者に所得が発生したとしても、それはこの判定に影響を与えません。(所法2、83、85、所基通85-1) さらに、年の中途で死亡した納税者の準確定申告において配偶者控除の適用を受けた配偶者が、年末において、他の納税者の扶養親族として扶養控除の適用を受けることもできます。(所基通83〜84-1)
被相続人の準確定申告により納付すべき所得税は、確定した債務として相続税の課税価格の計算上債務控除として相続財産から控除することができます。 反対に、所得税が還付される場合は未収金として相続財産に含まれることになります。 この場合還付加算金が生じる場合がありますが、還付加算金については相続人が確定申告書の提出によって原始的に取得するもので、被相続人からの相続によって取得するものとは認められないため、所得税(雑所得)の課税対象となり、相続税の課税価格に算入されません。(所法125-2、国税通則法58、所基通35-1(5))
65万円の青色申告特別控除は期限内申告が適用要件とされているので、申告期限を途過しないよう注意が必要です。 もし、死亡により個人事業を廃止した場合に、所得の金額が一定額を超えると翌年の事業税が発生する場合がありますが、その年分の事業所得等の金額を基礎にして計算した事業税の見込み額を、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入できることとされています。(所基通37-7) また、被相続人が消費税の納税義務者だった場合、消費税の申告も「相続の開始があったことを知った日」から4カ月以内に、併せて行う必要があります。 (消法45) 消費税の申告書も原則として相続人が連署により一の書面で提出しなければなりません。
相続が発生した場合には、葬儀、法要、名義変更など様々な手続きが生じる中で、4カ月以内に相続人全員の署名捺印による準確定申告をしなければならず、その上所得の内容を死亡した本人以外が把握していない場合も多いと考えられることから、非常に難しい状況になることが予想されます。 限られた時間の中でスムーズに手続きを進められるよう、生前から十分に準備しておくことが重要といえます。 (2011.1.11) |
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